Special Feature

人手不足が顕著な介護業界 DXで持続可能な未来へ

2023/07/31 09:00

週刊BCN 2023年07月31日vol.1979掲載

 既に人口の約3割が65歳以上の高齢者となり、2040年に高齢者の比率は3人に1人以上になると推定される「超高齢社会」の日本。介護を担う人材の不足は深刻さを増すことが予想されている。この危機を打開するために、介護現場のDXが急がれている。職員の処遇改善のために国からの補助金を受けやすくする介護事業者向けのSaaSサービス、介護の人手不足を補うAIを活用した見守りサービス、ITソリューションを導入するためのインフラ基盤の提案と、各方面で介護業界のDXに積極的に取り組む3社の動きを紹介する。
(取材・文/堀 茜)
 

「介護のデジタル化」が喫緊の課題

 高齢化が急速に進む中、介護人材の不足は、必要なケアを受けられない「介護難民」を生むリスクが現実のものとなりかねない危機をはらんでいる。三菱総合研究所は3月、介護分野の人材不足の現状とその解決策をテーマに、メディア向けセミナーを開催した。同研究所によると、高齢化の進行によって、40年には介護人材が約69万人不足することが見込まれている。政策・経済センター副センター長の藤井倫雅・主席研究員は、「介護人材の不足は喫緊の課題だ」と指摘。問題解決のために必要になることとして、▽予防医療によって元気な高齢者の割合を増やし介護需要を抑制する▽介護サービスをデジタル化することで生産性を高め、より少ない介護職員でサービスの品質を上げる―の2点を挙げた。
 
三菱総合研究所 藤井倫雅 主席研究員

 ITソリューションの導入が介護人材の不足を補うのに寄与する余地は大きい。同研究所は、介護サービスのデジタル化について、介護施設の居室にセンサーなどを設置して利用者の情報をモニタリングし、データをAI解析しケアに生かすことなどを想定する。同研究所の試算では、全国の介護事業所のデジタル化が進み、約50%に普及した場合、介護人材の最適配置など業務改善につながり、33万人分のリソースを補うことができるとしている。

 あわせて、同研究所は人材確保のために、介護事業者自身が経営改善に取り組むことが重要と指摘。藤井主席研究員は「国や自治体がそうした事業者の取り組みを支援していくことが重要になる」と述べた。
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