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全ての発注企業が対応必須に フリーランス保護新法、11月に施行

2024/10/28 09:00

週刊BCN 2024年10月28日vol.2035掲載

 企業から業務委託で仕事を請け負うフリーランスの働き方を保護する新しい法律「フリーランス保護新法」(新法)が11月1日に施行される。業務の発注に当たって、口頭でのやり取りを禁止し、文書やメールなどで内容を残すことなどが義務化される。IT業界でもエンジニアらフリーランスで働く人は多く、企業は対応を求められる。新法の施行で、業務を発注する企業側はどんな点に留意すれば良いのか。新法のポイントと、対応するソリューションを紹介する。
(取材・文/堀 茜、大畑直悠)
 

口頭での発注はNGに下請法で対象外の企業も義務化

 新法は、正式名称「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」。フリーランスと発注する企業間の取引の適正化と、フリーランスの就業環境整備を目的とする。働き方の多様化が進み、フリーランスというワークスタイルが社会に普及してきた一方で、フリーランスが取引先との関係で、報酬の不払いやハラスメントなどさまざまな問題やトラブルに見舞われるケースがあり、これらを防ぐことが趣旨だ。発注事業者からフリーランスへの業務委託(BtoB取引)が対象となる。

 取引の適正化を担保する法律として、これまでも下請法が業務委託などの規制となってきた。ただ、下請法は資本金1000万円超の法人からの委託が対象。一方、新法では、発注企業の規模の制限はなくなる。国が2020年に実施したフリーランス実態調査によると、資本金1000万円以下の企業と取引実績のあるフリーランスは約4割。フリーランスとしての売り上げのうち、資本金1000万円以下の企業との取引が半数以上と回答したのは約4割に上った。新法では、下請法では対象外だった小規模事業者も含め、発注業務を行う全ての企業が規制の対象となる。

 新法で注目されるのが、発注する業務内容など、取引条件を書面などで明示することが義務化される点だ。報酬額、発注から60日以内の支払期限などを、書面などの残るかたちでフリーランス側に伝えることが必要になる。発注書として文書を交付するほか、メールやSNSなど、形式は事業者側で選択できる。

 小規模な企業からの発注ほど口頭で行われるケースが多く、約11万人のフリーランス労働者が加入するフリーランス協会によると、フリーランスがトラブルを相談する「フリーランス・トラブル110番」に寄せられる内容で最も多いのが約3割を占める「報酬の未払い」だった。

 新法は、電話での口約束などによる不利益をなくし、適正に報酬の支払いが行われるよう担保する。発注側が法規制を守らなかった場合、国は事業者に指導、勧告、公表、命令などを行い、命令違反や検査拒否に対しては50万円以下の罰金を科す。

 フリーランス協会の平田麻莉・代表理事は「違反がないのが理想だが、違反事例が公開された場合には企業にとって抑止力となり、法律を守る必要性の認知度が高まっていくのではないか」と見通す。
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