Special Feature
1人の社員が何千のAIと協働する世界に 米Microsoftが「Ignite」開催
2024/12/05 09:00
週刊BCN 2024年12月02日vol.2039掲載
米Microsoft(マイクロソフト)は米国時間の11月19~22日、米シカゴで年次カンファレンス「Microsoft Ignite」を開催し、近年注力するAIソリューションを中心に多様な新製品や新技術を発表した。開幕を飾った基調講演で、サティア・ナデラ会長兼CEOはAIによるビジネス支援の方向性をさらに拡大し、「Copilot」をユーザーインターフェースとして特定の業務やタスクを実行する「エージェント」機能の提供に重点を置く方針を示した。ナデラCEOは「仕事や生活、チーム、ビジネスプロセスを横断し、私たちに代わって行動するAIエージェントが織りなす、豊かな『エージェンティック・ワールド』を構築できる」と呼び掛け、ビジネスにおけるAI利用の新たな可能性をアピールした。
(文/藤岡 堯)
ナデラCEOはAIエージェントの意義をこのように強調し、AIプラットフォームであるCopilotを活用したビジネスプロセスの変革に注力する姿勢を鮮明にした。
サティア・ナデラ CEO
そのAIエージェントへの窓口として機能するのがCopilotとなる。CopilotがAIとの対話を可能にするインターフェースとするならば、エージェントはその先で具体的かつ複数のステップにわたるタスクを自動的に実行する存在と言えるだろう。
エージェント関連の強化はIgnite以前から言及されており、基調講演ではその明確な姿が提示されたかたちだ。まず紹介されたのは、「Agent in Microsoft 365」である。その名の通り、 「Microsoft 365」のアプリケーション内に組み込まれたエージェントであり、特定の役割を果たすように設計されている。基調講演では五つのエージェントが披露された。
「SharePoint」では、組織内で作成・保存された多様なファイルの中身を素早く検索し、要約も行うエージェントを導入。「Teams」には、会議中に最大9カ国語のリアルタイム通訳を実現するエージェントが内蔵され、話し手の声のシミュレートにも対応する。会議のメモ取りやチャットの要約を担う「ファシリテーター」のエージェントも加わった。
「Microsoft 365 Copilot」の機能である「Business Chat」(BizChat) では「従業員セルフサービス エージェント」を導入。人事やIT関連のタスクに対応し、ユーザーは福利厚生や給与情報の取得、IT部門へのリクエストなどが行える。
タスク管理ツールの「Planner」では、プロジェクト管理を自動化し、プランの作成からタスクの実行までをカバーする「プロジェクトマネージャー」エージェントが設定された。
サードパーティーによるエージェントも順次登場予定で、独SAP(エスエーピー)や米Adobe(アドビ)、米Workday(ワークデイ)などが、Copilot内でネイティブに利用できるエージェントを提供する。
このほか、Microsoft 365の各種アプリに関する行動を自動化する機能として「Copilot Actions」がアナウンスされた。簡単なプロンプト入力で、定型的かつ反復的な作業を繰り返し実行するエージェントが構築できる。新規にアクションをつくれるだけでなく、構築済みのテンプレートを基に編集することも可能で、定期的なレポートの作成、会議の要約など日常の作業を幅広く自動化する。
自律的なエージェントは、プロンプトによる指示を入力しなくとも、きっかけとなるトリガーに合わせて、あらかじめ定めていたアクションを実行する。例えば、メール受信をトリガーに設定すると、送信者の詳細や過去のやり取りの把握、在庫確認、自動返信などを自律的に行ってくれるという。
ユースケースとしては、ITヘルプデスクや従業員のオンボーディング(新入社員向けの情報提供・研修)、顧客特性に応じたコンシェルジュ的なサービスなどが挙げられ、業種業界を問わず活用できる。エージェントがバックグラウンドで反復的なタスクを処理している間に、ユーザーはより創造的なタスクに集中でき、生産性の向上につなげられるというわけだ。テキストだけでなく、音声での入力や画像分析によるQ&Aに対応するなど、マルチモーダルな点も特徴とする。
エージェントが行動を起こすためには前提となる知識が必要であるが、知識のソースはマイクロソフトの製品だけでなく外部にも広がっている。新しいソースを取り込むためのコネクターも強化しており、米Salesforce(セールスフォース)、米ServiceNow(サービスナウ)、米Zendesk(ゼンデスク)など複数のサードパーティーソースとリアルタイムで連携し、必要なナレッジをエージェントに提供する計画だ。
もちろん、ビジネスユーザーだけではなく、開発者に向けてもAI関連の新機能を打ち出している。新たに発表された「Azure Al Foundry」は、AIアプリとエージェントを大規模に設計、カスタマイズ、管理するプラットフォームであり、「GitHub」「Visual Studio」「Copilot Studio」などの一般的な開発者ツールと統合されている。
Foundryに含まれる新機能の「Azure AI Agent Service」は、「Bing Search」や「Microsoft Fabric」、ベクトル検索基盤の「Azure AI Search」といったナレッジソースと、「Azure OpenAI Service」や「Azure AI Model Catalog」内の1800を超える多様なAIモデルなどを組み合わせ、エンタープライズ利用に耐える高い品質と拡張性、信頼性を備えたエージェントを構築できるという。
ナデラCEOは、Web、モバイル、クラウドといったIT環境の変化はアプリにも影響するとした上で「AIでも同じことが起きており、アプリの設計、カスタマイズ、管理の方法が変化している」と指摘。Foundryは「AI時代に向けた最高クラスのアプリサーバーだ」とアピールした。
AIエージェントをめぐっては、多くの大手IT企業が重点的に取り組もうとしている。生成AI領域で先頭を走るマイクロソフトがさらにギアを上げたことで、その勢いはさらに加速していくだろう。
新たに発表された
「Windows 365 Link」
横幅と奥行きが120mm、高さが30mmと極めてコンパクトで、重量は418グラム。USB-Aポート三つと、USB-Cポート、HDMIポート、DisplayPort、3.5mmヘッドホンジャック、イーサネットポートを各一つ備える。起動時間はわずか数秒で、ユーザーはLinkに外部ディスプレイやキーボードなどをつないで利用する。
デバイスはローカルにデータやアプリなどを持たず、ユーザーのデータはマイクロソフトのクラウド内で保護される。セキュリティーポリシーは無効にできず、ログインは「Microsoft Entra ID」「Microsoft Authenticator」アプリまたはUSBセキュリティーキーを使用したパスワードレス認証となり、極めて高い安全性が担保される。「Microsoft Intune」を使用してほかのPCと一緒に簡単に管理できるので、企業のIT部門の負担軽減にもつながるだろう。
試験運用の反応では、セットアップの容易さ、強力なセキュリティー体制、常に最新の状態であること、ユーザーがすぐに作業を開始できる点などが評価されたという。
2025年4月に一部地域で発売する計画で、価格は349ドルを予定し、別途Windows 365の利用料金が必要になるとみられる。
日本など7カ国でプレビュープログラムが行われる。マイクロソフトでは今後、ハードウェアメーカーのエコシステムパートナーと連携し、クラウドPCの領域を拡張したい考えで、ナデラCEOは「Windows端末の選択肢を広げる」と期待を寄せた。
エッジサーバーはオンプレミスやマルチクラウド、エッジ環境など、さまざまなITインフラで稼働するリソースを一元管理するためのツール「Azure Arc」に接続し、Azureのポータルから管理が可能であるため、エッジ拠点にIT担当者がいない環境でも比較的手軽に配置できるメリットがある。
用途としては、小売店舗や工場などエッジ環境での利用が想定されるほか、データ主権の観点からクラウドの使用が難しい政府や金融、医療などの領域も候補として考えられそうだ。
(文/藤岡 堯)

Microsoft 365にエージェントを組み込む
「Copilotはエージェントを拡張できるプラットフォームであり、1人の従業員と一つのCopilotがあれば、何千ものエージェントを有することができる」ナデラCEOはAIエージェントの意義をこのように強調し、AIプラットフォームであるCopilotを活用したビジネスプロセスの変革に注力する姿勢を鮮明にした。
そのAIエージェントへの窓口として機能するのがCopilotとなる。CopilotがAIとの対話を可能にするインターフェースとするならば、エージェントはその先で具体的かつ複数のステップにわたるタスクを自動的に実行する存在と言えるだろう。
エージェント関連の強化はIgnite以前から言及されており、基調講演ではその明確な姿が提示されたかたちだ。まず紹介されたのは、「Agent in Microsoft 365」である。その名の通り、 「Microsoft 365」のアプリケーション内に組み込まれたエージェントであり、特定の役割を果たすように設計されている。基調講演では五つのエージェントが披露された。
「SharePoint」では、組織内で作成・保存された多様なファイルの中身を素早く検索し、要約も行うエージェントを導入。「Teams」には、会議中に最大9カ国語のリアルタイム通訳を実現するエージェントが内蔵され、話し手の声のシミュレートにも対応する。会議のメモ取りやチャットの要約を担う「ファシリテーター」のエージェントも加わった。
「Microsoft 365 Copilot」の機能である「Business Chat」(BizChat) では「従業員セルフサービス エージェント」を導入。人事やIT関連のタスクに対応し、ユーザーは福利厚生や給与情報の取得、IT部門へのリクエストなどが行える。
タスク管理ツールの「Planner」では、プロジェクト管理を自動化し、プランの作成からタスクの実行までをカバーする「プロジェクトマネージャー」エージェントが設定された。
サードパーティーによるエージェントも順次登場予定で、独SAP(エスエーピー)や米Adobe(アドビ)、米Workday(ワークデイ)などが、Copilot内でネイティブに利用できるエージェントを提供する。
このほか、Microsoft 365の各種アプリに関する行動を自動化する機能として「Copilot Actions」がアナウンスされた。簡単なプロンプト入力で、定型的かつ反復的な作業を繰り返し実行するエージェントが構築できる。新規にアクションをつくれるだけでなく、構築済みのテンプレートを基に編集することも可能で、定期的なレポートの作成、会議の要約など日常の作業を幅広く自動化する。
業務に特化したカスタマイズも可能に
さらに、顧客の業務により特化するよう柔軟にカスタマイズし、自律的に行動するエージェントを構築するソリューションも発表されている。対話型インターフェースとしてのCopilotをローコードでカスタマイズする「Copilot Studio」を大きく拡張するかたちで、エージェント作成機能が追加されたのだ。自律的なエージェントは、プロンプトによる指示を入力しなくとも、きっかけとなるトリガーに合わせて、あらかじめ定めていたアクションを実行する。例えば、メール受信をトリガーに設定すると、送信者の詳細や過去のやり取りの把握、在庫確認、自動返信などを自律的に行ってくれるという。
ユースケースとしては、ITヘルプデスクや従業員のオンボーディング(新入社員向けの情報提供・研修)、顧客特性に応じたコンシェルジュ的なサービスなどが挙げられ、業種業界を問わず活用できる。エージェントがバックグラウンドで反復的なタスクを処理している間に、ユーザーはより創造的なタスクに集中でき、生産性の向上につなげられるというわけだ。テキストだけでなく、音声での入力や画像分析によるQ&Aに対応するなど、マルチモーダルな点も特徴とする。
エージェントが行動を起こすためには前提となる知識が必要であるが、知識のソースはマイクロソフトの製品だけでなく外部にも広がっている。新しいソースを取り込むためのコネクターも強化しており、米Salesforce(セールスフォース)、米ServiceNow(サービスナウ)、米Zendesk(ゼンデスク)など複数のサードパーティーソースとリアルタイムで連携し、必要なナレッジをエージェントに提供する計画だ。
もちろん、ビジネスユーザーだけではなく、開発者に向けてもAI関連の新機能を打ち出している。新たに発表された「Azure Al Foundry」は、AIアプリとエージェントを大規模に設計、カスタマイズ、管理するプラットフォームであり、「GitHub」「Visual Studio」「Copilot Studio」などの一般的な開発者ツールと統合されている。
Foundryに含まれる新機能の「Azure AI Agent Service」は、「Bing Search」や「Microsoft Fabric」、ベクトル検索基盤の「Azure AI Search」といったナレッジソースと、「Azure OpenAI Service」や「Azure AI Model Catalog」内の1800を超える多様なAIモデルなどを組み合わせ、エンタープライズ利用に耐える高い品質と拡張性、信頼性を備えたエージェントを構築できるという。
ナデラCEOは、Web、モバイル、クラウドといったIT環境の変化はアプリにも影響するとした上で「AIでも同じことが起きており、アプリの設計、カスタマイズ、管理の方法が変化している」と指摘。Foundryは「AI時代に向けた最高クラスのアプリサーバーだ」とアピールした。
AIエージェントをめぐっては、多くの大手IT企業が重点的に取り組もうとしている。生成AI領域で先頭を走るマイクロソフトがさらにギアを上げたことで、その勢いはさらに加速していくだろう。
「Windows 365」に接続する専用デバイス
クラウド時代におけるPC利用のあり方として、少し変わった切り口が提示された。「『Windows 365』のためのシンプルでセキュアな専用デバイス」をうたう「Windows 365 Link」である。Windows 365は「Microsoft Azure」上に展開されたクラウドPCをネットワーク経由で利用できるサービス。LinkはこのWindows 365への接続のために開発された専用デバイスとなる。
「Windows 365 Link」
横幅と奥行きが120mm、高さが30mmと極めてコンパクトで、重量は418グラム。USB-Aポート三つと、USB-Cポート、HDMIポート、DisplayPort、3.5mmヘッドホンジャック、イーサネットポートを各一つ備える。起動時間はわずか数秒で、ユーザーはLinkに外部ディスプレイやキーボードなどをつないで利用する。
デバイスはローカルにデータやアプリなどを持たず、ユーザーのデータはマイクロソフトのクラウド内で保護される。セキュリティーポリシーは無効にできず、ログインは「Microsoft Entra ID」「Microsoft Authenticator」アプリまたはUSBセキュリティーキーを使用したパスワードレス認証となり、極めて高い安全性が担保される。「Microsoft Intune」を使用してほかのPCと一緒に簡単に管理できるので、企業のIT部門の負担軽減にもつながるだろう。
試験運用の反応では、セットアップの容易さ、強力なセキュリティー体制、常に最新の状態であること、ユーザーがすぐに作業を開始できる点などが評価されたという。
2025年4月に一部地域で発売する計画で、価格は349ドルを予定し、別途Windows 365の利用料金が必要になるとみられる。
日本など7カ国でプレビュープログラムが行われる。マイクロソフトでは今後、ハードウェアメーカーのエコシステムパートナーと連携し、クラウドPCの領域を拡張したい考えで、ナデラCEOは「Windows端末の選択肢を広げる」と期待を寄せた。
エッジでのAzure利用を拡張
クラウドコンピューティングでも、新しい形態となる「Azure Local」が発表された。Localはハイブリッドクラウド・ソリューションの「Azure Stack HCI」の流れを汲み、Azureサービスを顧客の分散した拠点に拡張し、ミッションクリティカルなワークロード、クラウドネイティブなアプリ、AIを柔軟性と拡張性をもって実行できるようにする。プレビュー版ではあるが、エッジユースケースに向け、従来より低いスペックのハードへの対応や、ネットワークに接続しない状態での動作を可能とする仕組みを取り入れている。エッジサーバーはオンプレミスやマルチクラウド、エッジ環境など、さまざまなITインフラで稼働するリソースを一元管理するためのツール「Azure Arc」に接続し、Azureのポータルから管理が可能であるため、エッジ拠点にIT担当者がいない環境でも比較的手軽に配置できるメリットがある。
用途としては、小売店舗や工場などエッジ環境での利用が想定されるほか、データ主権の観点からクラウドの使用が難しい政府や金融、医療などの領域も候補として考えられそうだ。
米Microsoft(マイクロソフト)は米国時間の11月19~22日、米シカゴで年次カンファレンス「Microsoft Ignite」を開催し、近年注力するAIソリューションを中心に多様な新製品や新技術を発表した。開幕を飾った基調講演で、サティア・ナデラ会長兼CEOはAIによるビジネス支援の方向性をさらに拡大し、「Copilot」をユーザーインターフェースとして特定の業務やタスクを実行する「エージェント」機能の提供に重点を置く方針を示した。ナデラCEOは「仕事や生活、チーム、ビジネスプロセスを横断し、私たちに代わって行動するAIエージェントが織りなす、豊かな『エージェンティック・ワールド』を構築できる」と呼び掛け、ビジネスにおけるAI利用の新たな可能性をアピールした。
(文/藤岡 堯)
ナデラCEOはAIエージェントの意義をこのように強調し、AIプラットフォームであるCopilotを活用したビジネスプロセスの変革に注力する姿勢を鮮明にした。
サティア・ナデラ CEO
そのAIエージェントへの窓口として機能するのがCopilotとなる。CopilotがAIとの対話を可能にするインターフェースとするならば、エージェントはその先で具体的かつ複数のステップにわたるタスクを自動的に実行する存在と言えるだろう。
エージェント関連の強化はIgnite以前から言及されており、基調講演ではその明確な姿が提示されたかたちだ。まず紹介されたのは、「Agent in Microsoft 365」である。その名の通り、 「Microsoft 365」のアプリケーション内に組み込まれたエージェントであり、特定の役割を果たすように設計されている。基調講演では五つのエージェントが披露された。
「SharePoint」では、組織内で作成・保存された多様なファイルの中身を素早く検索し、要約も行うエージェントを導入。「Teams」には、会議中に最大9カ国語のリアルタイム通訳を実現するエージェントが内蔵され、話し手の声のシミュレートにも対応する。会議のメモ取りやチャットの要約を担う「ファシリテーター」のエージェントも加わった。
「Microsoft 365 Copilot」の機能である「Business Chat」(BizChat) では「従業員セルフサービス エージェント」を導入。人事やIT関連のタスクに対応し、ユーザーは福利厚生や給与情報の取得、IT部門へのリクエストなどが行える。
タスク管理ツールの「Planner」では、プロジェクト管理を自動化し、プランの作成からタスクの実行までをカバーする「プロジェクトマネージャー」エージェントが設定された。
サードパーティーによるエージェントも順次登場予定で、独SAP(エスエーピー)や米Adobe(アドビ)、米Workday(ワークデイ)などが、Copilot内でネイティブに利用できるエージェントを提供する。
このほか、Microsoft 365の各種アプリに関する行動を自動化する機能として「Copilot Actions」がアナウンスされた。簡単なプロンプト入力で、定型的かつ反復的な作業を繰り返し実行するエージェントが構築できる。新規にアクションをつくれるだけでなく、構築済みのテンプレートを基に編集することも可能で、定期的なレポートの作成、会議の要約など日常の作業を幅広く自動化する。
(文/藤岡 堯)

Microsoft 365にエージェントを組み込む
「Copilotはエージェントを拡張できるプラットフォームであり、1人の従業員と一つのCopilotがあれば、何千ものエージェントを有することができる」ナデラCEOはAIエージェントの意義をこのように強調し、AIプラットフォームであるCopilotを活用したビジネスプロセスの変革に注力する姿勢を鮮明にした。
そのAIエージェントへの窓口として機能するのがCopilotとなる。CopilotがAIとの対話を可能にするインターフェースとするならば、エージェントはその先で具体的かつ複数のステップにわたるタスクを自動的に実行する存在と言えるだろう。
エージェント関連の強化はIgnite以前から言及されており、基調講演ではその明確な姿が提示されたかたちだ。まず紹介されたのは、「Agent in Microsoft 365」である。その名の通り、 「Microsoft 365」のアプリケーション内に組み込まれたエージェントであり、特定の役割を果たすように設計されている。基調講演では五つのエージェントが披露された。
「SharePoint」では、組織内で作成・保存された多様なファイルの中身を素早く検索し、要約も行うエージェントを導入。「Teams」には、会議中に最大9カ国語のリアルタイム通訳を実現するエージェントが内蔵され、話し手の声のシミュレートにも対応する。会議のメモ取りやチャットの要約を担う「ファシリテーター」のエージェントも加わった。
「Microsoft 365 Copilot」の機能である「Business Chat」(BizChat) では「従業員セルフサービス エージェント」を導入。人事やIT関連のタスクに対応し、ユーザーは福利厚生や給与情報の取得、IT部門へのリクエストなどが行える。
タスク管理ツールの「Planner」では、プロジェクト管理を自動化し、プランの作成からタスクの実行までをカバーする「プロジェクトマネージャー」エージェントが設定された。
サードパーティーによるエージェントも順次登場予定で、独SAP(エスエーピー)や米Adobe(アドビ)、米Workday(ワークデイ)などが、Copilot内でネイティブに利用できるエージェントを提供する。
このほか、Microsoft 365の各種アプリに関する行動を自動化する機能として「Copilot Actions」がアナウンスされた。簡単なプロンプト入力で、定型的かつ反復的な作業を繰り返し実行するエージェントが構築できる。新規にアクションをつくれるだけでなく、構築済みのテンプレートを基に編集することも可能で、定期的なレポートの作成、会議の要約など日常の作業を幅広く自動化する。
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- 業務に特化したカスタマイズも可能に
- 「Windows 365」に接続する専用デバイス
- エッジでのAzure利用を拡張
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