──2024年10月に社長に就任した。社内の印象は。
社員はみんな前向きで、昔からの基盤をどう守っていくかということだけではなく、いろいろなことを変えたいとか、あるいは新しいことに挑戦したいと思っていた。ビジネスは好調で、まだ伸びる余地もある。入社前に思っていたよりもダイナミックな会社だと感じている。パートナーの間では、まだ紙の処理を多く抱えている部分はあるものの、デジタルに対して積極的なパートナーもいるので、ここを一緒に強化していけば、会社はもっと成長できるとみている。
武藤健一郎
代表取締役社長執行役員兼
最高経営責任者(CEO)
──課題は。
スピードだと思っている。最近、パートナーから「弥生がやってくれないと誰も動かないですよ」と言われた。これまでは、ややパートナーやエンドユーザーに合わせてしまう部分があったが、もっと積極的にやってもいいのではないかと考えている。当然、責任は伴うし、ツールや仕組みも提供していかなければならないが、道筋をしっかり定めながらメッセージを出してもいいと思っている。
「両輪」で成長を目指す方針は継続
──25年の方針は。
一番はお客様の目線に立つことだ。デスクトップ版のソフトウェアは引き続き提供するし、クラウドの製品にも注力する。この方針は今までと変わらない。例えば、全部クラウドにするやり方もあるが、それはわれわれのビジネスを否定するようなことになってしまう。デスクトップ版のソフトはまだ需要があるので、両輪で成長を目指すのはありだと考えている。
──新ブランド「弥生Next」の方向性は。
他社製品と差別化するためには、わかりやすく、シンプルにするというわれわれの強みをしっかり反映させることが大切なので、今までの歴史の中で蓄積してきた膨大な知見やデータを生かしていく。25年春以降にクラウド会計ソフト「弥生会計 Next」の正式版のリリースを予定しており、その後はいろいろな機能を追加していく。また、AIも大きなテーマになると思っているので、将来的にパートナーやユーザーが意識しなくてもAIを利用し、より本業に集中できるような世界を実現したい。
──25年の市場環境の見通しと意気込みを。
企業はもっとDXを進めなければならないので、ビジネスチャンスは引き続きあると見込んでいる。ただ、まだDXに取り組んでいない企業が存在するのは事実であり、われわれにとっては、そのような企業にどれだけ動いてもらえるかが今後の成長のポイントになるだろう。失敗してもまたチャレンジすれば良く、いろいろなことにトライできるように、社内の意識改革も進めながら、さらなる成長を目指していきたい。