──2024年を振り返ってどのような年だったか。
金融業界を取り巻く環境が大きく変わった1年だった。メガバンクとFintech企業との協業加速や、M&Aの盛り上がりも印象に残っている。当社は、三井住友カードとの合弁会社を立ち上げ、祖業である家計簿アプリサービスのさらなる進化に向けて踏み出したほか、複数の子会社の立ち上げや、M&Aによって二つの企業がグループジョインするなど、チャレンジの1年となった。
辻 庸介
代表取締役社長 グループCEO
──前回のインタビューの際に「EBITDA黒字化の達成を目指す」としていたが、結果はどうか。
達成に向けて売り上げ・EBITDAともに順調に進捗し、結果として、24年11月期は全ての四半期でEBITDA黒字で着地。通期のEBITDAは17.3億円となった。
経営管理領域での事業本格化を見据え新会社を設立
──マネーフォワードクラウド経営管理コンサルティングを新会社として立ち上げた。設立の狙いや今後の取り組みは。
経営管理領域での事業活動を本格化していくために新会社を立ち上げた。昨今、経営管理領域のSaaS市場が拡大しており、マネーフォワードとしても拡大する市場に対してサービスを提供し、事業を強化したいと考えている。また、財務会計と近い領域のため、これまでのSaaSビジネスとの親和性も高い。
これまでもグループ会社のナレッジラボで提供していた予算策定や予実分析ができる「Manageboard」や、グループジョインしたアウトルックコンサルティングが提供する経営管理・予算管理システム「Sactona」とコンサルティングサービスを組み合わせ、ユーザーのニーズに合わせてサービスを提供していく予定だ。
──マネーフォワードエックスと日本IBMの協業など、さまざまな企業との協業や業務提携を進めた。今後もこの動きは継続していくか。
当社は「共創」をキーワードに、さまざまな企業との協業に取り組んでいる。経済圏などに縛られないオープンな立場であることがマネーフォワードの強みであり、ユーザーに一番いいサービスを届けるために最適な方法であれば、積極的に協業・業務提携を行いたい。
──25年の目標は。
AIを活用したサービスづくりに取り組みたいと考えている。(25年は)AIエージェント元年と言われているが、マネーフォワードではこれまでも企業のバックオフィスが抱える可能性がある将来の課題を予測し、それを解決するためのアクションを実行・提案する「Autonomous BackOffice」(オートノマス・バックオフィス、バックオフィスの自律化)の実現を目指して研究や開発に取り組んできた。ユーザーの期待を超えるサービスをつくる。