Special Feature
「稼げるIT」を目指す沖縄 ResorTech EXPOにみる現在地
2025/12/01 09:00
週刊BCN 2025年12月01日vol.2084掲載
沖縄県は、観光に次ぐ産業の柱として官民一体となりITの集積に力を入れている。11月13、14日に沖縄市で開かれたイベント「ResorTech(リゾテック)EXPO 2025 in Okinawa」には県内外から多くのITベンダーが出展し、地元の自治体や企業の課題解決につながる商談を行うなど、ITのビジネスマッチングの場として盛り上がりを見せた。稼ぐ力を強化するため“オール沖縄”で取り組む沖縄のITビジネスの現状を追った。
(取材・文/堀 茜)
沖縄で最大のビジネス商談会であるResorTech EXPOは、沖縄県や県内IT企業の業界団体、経済団体などで構成する実行委員会が主催し、2020年に始まった。ResorTechは、Resort(リゾート)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語だ。リゾート地である沖縄の産業をテクノロジーで支えるという思いが込められ、立地やイベントの独自性を表現している。国際IT見本市と位置付けられ、11月に開催した第7回には、県内外からITベンダーら280社が出展。韓国やベトナム、台湾といった東アジアに拠点を置く企業も複数参加した。来場者は2日間で約2万人。出展社数、来場者数はともに当初より2倍に伸びている。
官民連携で取り組んできた沖縄のIT産業への注力は、IT企業の集積というかたちで成果を挙げている。ResorTech EXPOの事務局を担当する沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)によると、沖縄県内の情報通信事業者数は全国17位、従業員数は全国15位で、人口規模を考えると高い集積率だ。23年の統計では、県内に拠点を持つIT関連企業は919社。約4万2000人が働き、5000億円超の売り上げがあった。沖縄県全体のGDPが約4兆円である点を踏まえると、IT産業が占める割合は小さくない。
ISCOでは、県外から沖縄に事業所を置くIT企業の傾向として、以前は比較的安い人件費を背景に、人材獲得を見込んで進出するケースが多かったが、近年は協業を目的としたパートナーを求める企業が増えていると分析する。ISCOには東アジアのIT企業やスタートアップが沖縄に拠点を設けたいという相談も多く寄せられている。そうした中で、ResorTechは、協業を推進する場として年々認知が高まっているようだ。
開場前には多くの来場者で行列ができた
「逆商談」が行われた会場。
企業や自治体が解決したい悩みに対して、4社が提案を行った
課題を持つ企業や自治体にとって、効率的に提案を受けられるメリットがある。実行委員会が課題や要望を事前にヒアリングし、出展企業に共有するため、提案のミスマッチを防ぐことができる。一つの課題に対し、手を挙げたIT企業4社が順番に提案。逆商談の場では実行委員会のスタッフがファシリテーターとして同席し、マッチングをサポートする。ファシリテーターがいることで、提案側からの一方的な営業にならず、相談側が求めている対応を引き出せるといった効果もある。
今回のブースでは、取引先ごとに紙伝票やCSVなど異なるデータフォーマットの対応に悩む運送業者や、運行実績の管理を手作業で行っている現状を改善したいバス会社、書かない窓口の導入を検討している自治体などが相談を寄せ、2日間で85件の逆商談が行われた。例年、参加者双方の満足度は高く、逆商談から具体的な導入につながった事例もあるという。
また、ResorTechが継続的なテーマにしているのが、地方創生だ。沖縄県の課題解決にとどまらず、各地で行われる取り組みを共有することで、それぞれの地域をより盛り上げていこうという主旨で、イベントの基調講演として「地方創生DXシンポジウム」を開催した。
自治体のDXの現状と課題を話し合った地方創生シンポジウム
シンポジウムでは、沖縄県、徳島県、福井県、内閣府のDX担当者が登壇した。沖縄県は、人口減や災害対応など直面する課題に、40年には現状の半分の職員で行政を担う必要が出てくることを見据え、デジタル技術と外部人材の活用を推進していることを紹介した。沖縄県情報産業協会
ResorTechの開催意義について、実行委員会の副委員長である沖縄県情報産業協会の天久進会長は「県内企業が切磋琢磨して共に成長していこうという意識が高まる場になってきている」とみる。県内向けにビジネスをしている同士、限られた市場の中でこれまで競合という意識が強かった。イベントで一堂に会することで、同じ商材を扱っていても専門分野や役割が違えば協業相手になりうるという意識に変わり、一緒にやっていくことで成長・発展していこうとの方向になってきているという。出展企業同士で、何を展示するか情報交換し、ブースを訪れた来場者の希望に合わせて「それならあの会社がいい」と互いに紹介する流れも生まれている。
沖縄県情報産業協会
天久 進 会長
県内のIT産業の変化について、天久会長は、これまでは開発の下請けが多かったが、「サービスを生み出し、上流工程を取りに行こうという動きに変わりつつある」と分析する。沖縄のIT企業に対するニアショア開発の需要は強いが、下流工程の開発下請けだけでは金額が安くなってしまうため、できるだけ上流工程の案件の獲得を目指している。天久会長が会長を務めるSIerのオーシーシーでは、中心になって活躍しているエンジニアを東京に送り、上流工程の案件を獲得した事例もあった。「(社内から)反対する声もあったが、それくらいしないと案件は取れない」と振り返る。上流工程の案件を獲得するためには会社としての体力も必要であり、県全体の開発力の底上げや、会社同士の連携がより重要になる。沖縄県情報産業協会は、業界全体で上流工程の案件を受注できるよう、行政と連携して中核人材の育成を支援している。
県内企業のDXへの意識については「正直に言うとまだ低いと思う」と明かす。DXをしなくてはという意識の会社は増えているものの、自社に合うツールを持ってきてほしいという感覚が強いという。部分最適ではなく経営の根本から見直すという意識を持ってもらうため、県内企業に対する本質的なDXの理解を促す活動をITコーディネータ協会などと共に取り組んでいる。生成AIの登場によって、県内企業の中でも、AIを使った業務効率化への機運は高まっているとみる。これを好機ととらえ、成功事例を提示するなどして業務変革に伴走する考えだ。沖縄ソフトウェアセンター
県内IT企業の中で、沖縄ソフトウェアセンターは独自の立ち位置を確立している。県外企業向けのソフトウェア開発を事業内容とし、首都圏や大阪を中心に、案件の全てを県外から受注している。獲得した案件は、ほかの地元企業と共同で推進。県内IT企業の技術力を結集して開発している「オール沖縄」の体制が大きな特徴だ。
02年に設立した同社(創業時の社名はフロンティアオキナワ21)は、地場のIT企業などが出資し、現在の株主はIT企業19社を含む32社。株主企業に所属するエンジニアは合わせて約1600人に上る。エンジニアが持つ資格や得意領域は同社が把握し、受注した案件に必要な人材をアサインして、案件ごとに共同開発を行う体制を取っている。松田崇社長は「1社だけでは開発規模や対応できる分野に限りがあるが、沖縄全体で集結し、県外から“外貨”を稼いで来ようというのが、設立の一番大きな目的だった」と説明する。「沖縄の県民性として、縦より横のつながりの意識が強く、協力体制がつくれた」とも振り返る。
沖縄ソフトウェアセンター
松田 崇 社長
開発拠点は、沖縄県が国内外の情報通信関連産業の集積拠点を形成するために整備した産官学連携のIT戦略拠点である沖縄IT津梁パーク(うるま市)にあり、高いセキュリティーを確保しながら開発できる環境にある。
株主の県内IT企業の多くは、県内企業向けにビジネスを行っており、同社が県外で案件を獲得していることから競合にならない点もポイントだという。株主企業は数十人の小規模な会社も少なくなく、上流工程の案件に関わる機会は少ないのが現状だ。同社にエンジニアを送ることで、大規模な開発案件で経験を積み、人材育成につながっている側面もある。
幅広い業界向けの開発に対応しているが、特に強みを持つのは金融だ。長年取引のある大手生命保険会社のリモートエンハンス案件では、要件定義から開発、保守運用まで一貫して請け負い、ストックビジネスとして業績を支えている。新たな事業領域として注力しているのがAIだ。同社は25年5月、AIソリューションを提供するMiDATA(東京都)とデータ分析とAI活用ソリューションの提供に関する業務提携契約を締結した。自社が持つ高度なソフトウェア開発技術にMiDATAのAI技術を掛け合わせることで、金融や製造業向けにソリューションを共同開発するほか、販売でも協業する。
今後の成長に向けた課題として、松田社長は人材の確保を挙げる。依頼案件は多いものの、エンジニアを確保できずに断るケースも少なくないという。同社はミャンマーからエンジニアを招くなど、海外からの人材確保に注力している。「沖縄はアジア各国と物理的な距離が近く、気候も似ており、すぐなじんでくれる。いずれ母国に帰っても、その後も案件を依頼できるという意味で、海外人材はどんどん増やしていく」と話す。
松田社長は「当社が目指すのは、県内IT企業と共に成長することだ」と強調する。営業においては沖縄県など行政とのつながりも活用しながら、より幅広い案件を獲得し、地域のIT事業全体の底上げに貢献していく。
(取材・文/堀 茜)

沖縄で最大のビジネス商談会であるResorTech EXPOは、沖縄県や県内IT企業の業界団体、経済団体などで構成する実行委員会が主催し、2020年に始まった。ResorTechは、Resort(リゾート)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語だ。リゾート地である沖縄の産業をテクノロジーで支えるという思いが込められ、立地やイベントの独自性を表現している。国際IT見本市と位置付けられ、11月に開催した第7回には、県内外からITベンダーら280社が出展。韓国やベトナム、台湾といった東アジアに拠点を置く企業も複数参加した。来場者は2日間で約2万人。出展社数、来場者数はともに当初より2倍に伸びている。
官民連携で取り組んできた沖縄のIT産業への注力は、IT企業の集積というかたちで成果を挙げている。ResorTech EXPOの事務局を担当する沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)によると、沖縄県内の情報通信事業者数は全国17位、従業員数は全国15位で、人口規模を考えると高い集積率だ。23年の統計では、県内に拠点を持つIT関連企業は919社。約4万2000人が働き、5000億円超の売り上げがあった。沖縄県全体のGDPが約4兆円である点を踏まえると、IT産業が占める割合は小さくない。
ISCOでは、県外から沖縄に事業所を置くIT企業の傾向として、以前は比較的安い人件費を背景に、人材獲得を見込んで進出するケースが多かったが、近年は協業を目的としたパートナーを求める企業が増えていると分析する。ISCOには東アジアのIT企業やスタートアップが沖縄に拠点を設けたいという相談も多く寄せられている。そうした中で、ResorTechは、協業を推進する場として年々認知が高まっているようだ。
最適な提案を受けられる「逆商談」地方創生のシンポジウムも
出展企業のブースを来場者が回る一般的なスタイルに加え、一風変わった試みとして、ResorTechでは「逆商談」ブースを設けている。非IT企業や自治体が事前に解決したい課題を提示し、IT企業側から課題解決の提案を受ける形式のビジネスマッチング企画で、地域の事業者が抱える課題に対して、IT企業が解決策を提案する場として、初回から継続的に展開している。
企業や自治体が解決したい悩みに対して、4社が提案を行った
課題を持つ企業や自治体にとって、効率的に提案を受けられるメリットがある。実行委員会が課題や要望を事前にヒアリングし、出展企業に共有するため、提案のミスマッチを防ぐことができる。一つの課題に対し、手を挙げたIT企業4社が順番に提案。逆商談の場では実行委員会のスタッフがファシリテーターとして同席し、マッチングをサポートする。ファシリテーターがいることで、提案側からの一方的な営業にならず、相談側が求めている対応を引き出せるといった効果もある。
今回のブースでは、取引先ごとに紙伝票やCSVなど異なるデータフォーマットの対応に悩む運送業者や、運行実績の管理を手作業で行っている現状を改善したいバス会社、書かない窓口の導入を検討している自治体などが相談を寄せ、2日間で85件の逆商談が行われた。例年、参加者双方の満足度は高く、逆商談から具体的な導入につながった事例もあるという。
また、ResorTechが継続的なテーマにしているのが、地方創生だ。沖縄県の課題解決にとどまらず、各地で行われる取り組みを共有することで、それぞれの地域をより盛り上げていこうという主旨で、イベントの基調講演として「地方創生DXシンポジウム」を開催した。
シンポジウムでは、沖縄県、徳島県、福井県、内閣府のDX担当者が登壇した。沖縄県は、人口減や災害対応など直面する課題に、40年には現状の半分の職員で行政を担う必要が出てくることを見据え、デジタル技術と外部人材の活用を推進していることを紹介した。
沖縄県情報産業協会
県内企業が切磋琢磨 上流工程の獲得に尽力
ResorTechの開催意義について、実行委員会の副委員長である沖縄県情報産業協会の天久進会長は「県内企業が切磋琢磨して共に成長していこうという意識が高まる場になってきている」とみる。県内向けにビジネスをしている同士、限られた市場の中でこれまで競合という意識が強かった。イベントで一堂に会することで、同じ商材を扱っていても専門分野や役割が違えば協業相手になりうるという意識に変わり、一緒にやっていくことで成長・発展していこうとの方向になってきているという。出展企業同士で、何を展示するか情報交換し、ブースを訪れた来場者の希望に合わせて「それならあの会社がいい」と互いに紹介する流れも生まれている。
天久 進 会長
県内のIT産業の変化について、天久会長は、これまでは開発の下請けが多かったが、「サービスを生み出し、上流工程を取りに行こうという動きに変わりつつある」と分析する。沖縄のIT企業に対するニアショア開発の需要は強いが、下流工程の開発下請けだけでは金額が安くなってしまうため、できるだけ上流工程の案件の獲得を目指している。天久会長が会長を務めるSIerのオーシーシーでは、中心になって活躍しているエンジニアを東京に送り、上流工程の案件を獲得した事例もあった。「(社内から)反対する声もあったが、それくらいしないと案件は取れない」と振り返る。上流工程の案件を獲得するためには会社としての体力も必要であり、県全体の開発力の底上げや、会社同士の連携がより重要になる。沖縄県情報産業協会は、業界全体で上流工程の案件を受注できるよう、行政と連携して中核人材の育成を支援している。
県内企業のDXへの意識については「正直に言うとまだ低いと思う」と明かす。DXをしなくてはという意識の会社は増えているものの、自社に合うツールを持ってきてほしいという感覚が強いという。部分最適ではなく経営の根本から見直すという意識を持ってもらうため、県内企業に対する本質的なDXの理解を促す活動をITコーディネータ協会などと共に取り組んでいる。生成AIの登場によって、県内企業の中でも、AIを使った業務効率化への機運は高まっているとみる。これを好機ととらえ、成功事例を提示するなどして業務変革に伴走する考えだ。
沖縄ソフトウェアセンター
オール沖縄で技術を結集し県外の案件で“外貨”を稼ぐ
県内IT企業の中で、沖縄ソフトウェアセンターは独自の立ち位置を確立している。県外企業向けのソフトウェア開発を事業内容とし、首都圏や大阪を中心に、案件の全てを県外から受注している。獲得した案件は、ほかの地元企業と共同で推進。県内IT企業の技術力を結集して開発している「オール沖縄」の体制が大きな特徴だ。02年に設立した同社(創業時の社名はフロンティアオキナワ21)は、地場のIT企業などが出資し、現在の株主はIT企業19社を含む32社。株主企業に所属するエンジニアは合わせて約1600人に上る。エンジニアが持つ資格や得意領域は同社が把握し、受注した案件に必要な人材をアサインして、案件ごとに共同開発を行う体制を取っている。松田崇社長は「1社だけでは開発規模や対応できる分野に限りがあるが、沖縄全体で集結し、県外から“外貨”を稼いで来ようというのが、設立の一番大きな目的だった」と説明する。「沖縄の県民性として、縦より横のつながりの意識が強く、協力体制がつくれた」とも振り返る。
松田 崇 社長
開発拠点は、沖縄県が国内外の情報通信関連産業の集積拠点を形成するために整備した産官学連携のIT戦略拠点である沖縄IT津梁パーク(うるま市)にあり、高いセキュリティーを確保しながら開発できる環境にある。
株主の県内IT企業の多くは、県内企業向けにビジネスを行っており、同社が県外で案件を獲得していることから競合にならない点もポイントだという。株主企業は数十人の小規模な会社も少なくなく、上流工程の案件に関わる機会は少ないのが現状だ。同社にエンジニアを送ることで、大規模な開発案件で経験を積み、人材育成につながっている側面もある。
幅広い業界向けの開発に対応しているが、特に強みを持つのは金融だ。長年取引のある大手生命保険会社のリモートエンハンス案件では、要件定義から開発、保守運用まで一貫して請け負い、ストックビジネスとして業績を支えている。新たな事業領域として注力しているのがAIだ。同社は25年5月、AIソリューションを提供するMiDATA(東京都)とデータ分析とAI活用ソリューションの提供に関する業務提携契約を締結した。自社が持つ高度なソフトウェア開発技術にMiDATAのAI技術を掛け合わせることで、金融や製造業向けにソリューションを共同開発するほか、販売でも協業する。
今後の成長に向けた課題として、松田社長は人材の確保を挙げる。依頼案件は多いものの、エンジニアを確保できずに断るケースも少なくないという。同社はミャンマーからエンジニアを招くなど、海外からの人材確保に注力している。「沖縄はアジア各国と物理的な距離が近く、気候も似ており、すぐなじんでくれる。いずれ母国に帰っても、その後も案件を依頼できるという意味で、海外人材はどんどん増やしていく」と話す。
松田社長は「当社が目指すのは、県内IT企業と共に成長することだ」と強調する。営業においては沖縄県など行政とのつながりも活用しながら、より幅広い案件を獲得し、地域のIT事業全体の底上げに貢献していく。
沖縄県は、観光に次ぐ産業の柱として官民一体となりITの集積に力を入れている。11月13、14日に沖縄市で開かれたイベント「ResorTech(リゾテック)EXPO 2025 in Okinawa」には県内外から多くのITベンダーが出展し、地元の自治体や企業の課題解決につながる商談を行うなど、ITのビジネスマッチングの場として盛り上がりを見せた。稼ぐ力を強化するため“オール沖縄”で取り組む沖縄のITビジネスの現状を追った。
(取材・文/堀 茜)
沖縄で最大のビジネス商談会であるResorTech EXPOは、沖縄県や県内IT企業の業界団体、経済団体などで構成する実行委員会が主催し、2020年に始まった。ResorTechは、Resort(リゾート)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語だ。リゾート地である沖縄の産業をテクノロジーで支えるという思いが込められ、立地やイベントの独自性を表現している。国際IT見本市と位置付けられ、11月に開催した第7回には、県内外からITベンダーら280社が出展。韓国やベトナム、台湾といった東アジアに拠点を置く企業も複数参加した。来場者は2日間で約2万人。出展社数、来場者数はともに当初より2倍に伸びている。
官民連携で取り組んできた沖縄のIT産業への注力は、IT企業の集積というかたちで成果を挙げている。ResorTech EXPOの事務局を担当する沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)によると、沖縄県内の情報通信事業者数は全国17位、従業員数は全国15位で、人口規模を考えると高い集積率だ。23年の統計では、県内に拠点を持つIT関連企業は919社。約4万2000人が働き、5000億円超の売り上げがあった。沖縄県全体のGDPが約4兆円である点を踏まえると、IT産業が占める割合は小さくない。
ISCOでは、県外から沖縄に事業所を置くIT企業の傾向として、以前は比較的安い人件費を背景に、人材獲得を見込んで進出するケースが多かったが、近年は協業を目的としたパートナーを求める企業が増えていると分析する。ISCOには東アジアのIT企業やスタートアップが沖縄に拠点を設けたいという相談も多く寄せられている。そうした中で、ResorTechは、協業を推進する場として年々認知が高まっているようだ。
開場前には多くの来場者で行列ができた
(取材・文/堀 茜)

沖縄で最大のビジネス商談会であるResorTech EXPOは、沖縄県や県内IT企業の業界団体、経済団体などで構成する実行委員会が主催し、2020年に始まった。ResorTechは、Resort(リゾート)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語だ。リゾート地である沖縄の産業をテクノロジーで支えるという思いが込められ、立地やイベントの独自性を表現している。国際IT見本市と位置付けられ、11月に開催した第7回には、県内外からITベンダーら280社が出展。韓国やベトナム、台湾といった東アジアに拠点を置く企業も複数参加した。来場者は2日間で約2万人。出展社数、来場者数はともに当初より2倍に伸びている。
官民連携で取り組んできた沖縄のIT産業への注力は、IT企業の集積というかたちで成果を挙げている。ResorTech EXPOの事務局を担当する沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)によると、沖縄県内の情報通信事業者数は全国17位、従業員数は全国15位で、人口規模を考えると高い集積率だ。23年の統計では、県内に拠点を持つIT関連企業は919社。約4万2000人が働き、5000億円超の売り上げがあった。沖縄県全体のGDPが約4兆円である点を踏まえると、IT産業が占める割合は小さくない。
ISCOでは、県外から沖縄に事業所を置くIT企業の傾向として、以前は比較的安い人件費を背景に、人材獲得を見込んで進出するケースが多かったが、近年は協業を目的としたパートナーを求める企業が増えていると分析する。ISCOには東アジアのIT企業やスタートアップが沖縄に拠点を設けたいという相談も多く寄せられている。そうした中で、ResorTechは、協業を推進する場として年々認知が高まっているようだ。
この記事の続き >>
- 最適な提案を受けられる「逆商談」地方創生のシンポジウムも
- 沖縄県情報産業協会 県内企業が切磋琢磨 上流工程の獲得に尽力
- 沖縄ソフトウェアセンター オール沖縄で技術を結集し県外の案件で“外貨”を稼ぐ
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