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日本PGP 中小規模向けの新ソリューション 暗号大手が用意した潜在需要開拓の武器

2009/10/14 19:55

 暗号の世界的大手である米PGP。その日本法人である日本PGP(北原真之代表取締役)は6月15日、新たな顧客層にアプローチする新ソリューションを投入した。それが、中小企業や大企業の支社・支店、事業部門単位での導入に適したディスク暗号化ソリューション「PGP® Whole Disk Encryption Workgroup Edition(WDE WE)」だ。暗号のマーケットは、従来の大企業・団体から中堅・中小規模マーケットにも広がりをみせており、伸び盛り。ニーズを的確に掴んだ新ソリューションの特長をご紹介しよう。


顧客数11万超の世界的暗号大手 IBMも販売パートナーに


 日本PGPの本社である米PGPは、世界178か国でビジネスを展開し、同社製品のユーザーは全世界で約11万企業・団体を超える。ほかのセキュリティベンダーは、製品・ソリューション分野を広げ、製品数でも拡大路線を走るが、米PGPはそれらとは一線を画し、設立以来一貫して暗号製品・ソリューションの開発・販売に事業領域を特化している。研究・開発を暗号技術に集中することで、テクノロジーリーダーの座を維持し続けているのだ。

 日本市場に向けては2005年に日本法人を設立し、08年6月にはシマンテックやトリップワイヤ・ジャパンなどで要職を務めた北原真之氏がトップに就任。事業基盤・経営体制はますます強固になった。WDE WEの販売パートナーは、日本システムディベロップメント、ペンティオ、アクト・ツー、そして日本IBMの4社。セキュリティ事業に強みを持ち、暗号技術にも精通したベンダーが名を連ねている。

 暗号専門ベンダーだけに、その製品ラインアップは幅広い。クライアントPC用とサーバー用、そして日本市場では未発売だが、スマートフォンなどの携帯端末機器向けも揃え、データを格納するあらゆる機器に対応する。また暗号化する単位も、ハードディスクドライブ(HDD)全体か、ファイル単位かでそれぞれ選べるように各タイトルを持ち、電子メールの暗号化をゲートウェイで施すツールもある。ユーザー企業・団体の多様な要望に柔軟に応えられるラインアップを用意しているわけだ。

10~150人向け新ソリューション 手間がかからず中小でも簡単操作


 6月15日に発売した新製品「PGP Whole Disk Encryption Workgroup Edition(WDE WE)」が、日本のユーザー企業・団体とマーケットに与えるインパクトは大きい。なぜなら、これまで大・中堅規模の事業所向けに提供されていた管理ソリューションに加えて新たに投入される中小規模向け管理ツールによりPGPのテクノロジーを、中小規模の事業所も容易に活用できるようになるからだ。「WDE WE」は、10~150人程度の中小規模事業所が簡単に利用できるように設計している。従来から販売するスタンドアロンで動作し、販売実績のある暗号ツール「PGP® Whole Disk Encryption(WDE)」に、大企業向けの管理コンソール「PGP Universal™ Server」から必要機能を抽出した「PGP® Whole Disk Encryption Controller(WDE Controller)」を組み合わせた製品だ。

 「WDE」は、PCのHDD全体と、情報漏えい原因の筆頭に挙げられるUSBメモリ内のデータを丸ごと暗号化し、データ漏えいを防ぐ。PCの「ごみ箱」内のデータを完全消去する機能も備える。PCユーザーは、起動時に立ち上がる「WDE」専用画面にパスワードを入力するだけで、HDDの暗号・複合化がすべて自動で行われる。Windowsログインとのシングルサインオン機能により、導入したことによる利用ユーザへの手間も増やさない。


公開鍵暗号で解読可能性はほぼゼロ 簡単な管理ツールも用意<

 WDEではHDD全体暗号化のみならず、暗号化ファイル作成機能も標準機能として提供する。暗号には、PGPの特徴である「公開鍵暗号」と呼ばれるテクノロジーを採用。暗号技術には主に、「公開鍵暗号」と「共通鍵暗号」があるが、ファイルをパスワードのみで暗号化するような「共通鍵暗号」ではデータの送り手と受け手が同じ鍵(パスワード)を共有する必要があるため、鍵を安全に保管・送信しなければならない。だが、「公開鍵暗号方式」では暗号化する「公開鍵」と復号化する「秘密鍵」が別々で、暗号に使う公開鍵は第三者に知られても解読されないので、「使い勝手もよく解読される危険性はほぼ皆無」(大谷内淳・セールスマネージャ)の安全性を誇る。


 一方、情報システム管理者向けの機能としては、ユーザの利用ポリシー設定済みのインストールパッケージの作成機能や、PCを利用する従業員・職員がパスワードを忘れてしまった際、新たなパスワードを付与して復旧させる機能を備えた。直感的な操作が可能な管理ツールは、各端末のユーザーと同様に、専門知識を持たなくても操作できる設計。専用のサーバーやデータベースが不要でWindowsPCで動作するため、導入コストも軽減できる。さらに、暗号化状況などPCで生成されたログを共有サーバー上で保存でき、暗号化実施の監査証跡として活用できる。

需要高まる中小企業に最適 大企業の支社・支店にも

日本の暗号市場は、「個人情報保護法」が施行されたことで徐々に立ち上がり、「今では大企業の60~70%には導入されている」と北原代表取締役は語る。すべてのITプロダクトにいえることだが、“アーリーアダプター”である大企業の次に需要が生まれるのは、中堅・中小企業だ。「WDE WE」が狙うマーケットはこれから需要が高まる分野だ。また、北原代表取締役は「大企業でもすべてのPCに暗号化対策がされているとは限らない。中小規模の支社・支店も新規開拓先のターゲットになる」と指摘する。大企業の利用でも、「PGP Universal Server」と「PGP WDE Controller」の併用により、ネットワークの接続環境にも配慮して柔軟に本社と支社・支店をマネジメントできる。

 今後需要が高まるマーケットに最適なソリューションを用意した日本PGP。新ソリューションで、暗号のリーディングカンパニーとしての座をますます強固にしようとしている。


お問い合せ先
日本PGP株式会社
住所:東京都千代田区麹町3-5-2
TEL:03-5215-7625
URL:http://www.pgp.co.jp/
パートナー情報
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外部リンク

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