東レ経営研究所の理事で産業経済調査部長の増田貴司・チーフエコノミストは、「『つながる経済』がもたらす産業の新潮流と日本製造業の生き残り策」と題し、IoTによって産業構造がどのように変わりつつあるか、そして日本の製造業が生き残るためには何が必要かを考察した。

増田貴司
理事
産業経済調査部長
チーフエコノミスト

 IoTの本質を直感的に理解するのは難しいが、増田チーフエコノミストは「『IoT時代』を『“つながる経済”時代』といい換え、つながり方が変わってきたと理解するとよい」との見方を示す。ここでの“つながる”とは、デバイスがインターネットに接続されることに加えて、人やサービスがつながることで新たな価値が生まれることを意味している。従来は分断されていたものがつながることによって、それまで製品自体の性能やコストで評価されていた製造業も、サービスを含めた総合力に競争軸が変化していく。また、ITを用いることによって、新たなビジネスモデルを低コストかつ短期間で具現化することが可能になったため、後発企業が大手を追い抜くのが容易になった。

 日本企業のビジネスにも“つながる経済”化が多大な影響を与えようとしているが、増田チーフエコノミストは「IoTに関する技術そのものは先行している」と分析する。問題は、技術やビジネスモデルがオープンではなく、自社系列に閉じた仕組みになっていること、そして産業の新潮流に対して受け身となっているマインドセットだという。

 従来、日本の製造業はものづくりの強みを競争力の源泉としてきたが、“つながる経済”の時代には「もうけるための仕組みづくり」の勝負になる。増田チーフエコノミストは、「異業種とどれだけコラボレーションをしているかが、IoTビジネスの進捗の指標になる」と述べ、IoT時代を勝ち抜くには、自らオープンな協業と異業種間競争を仕掛けていくことが必須になるとの見方を示した。