パソコン黎明期の1982年に誕生した老舗独立系ソフトウェア会社のインターコム。通信領域を軸に事業を展開し、現在は企業向けソフトの提供で存在感を示し続けている。そのような中で、「BCN AWARD」の通信ソフト部門で20年連続20回目の受賞となったほか、「今が一番調子がいい」と高橋啓介会長兼社長CEOは語る。その背景には、ストック型ビジネスへの移行が順調に進み、スタイルが固まってきたという確かな要因がある。今後も、サブスクリプション型ビジネスモデルを積極的に取り入れ、ソフトの開発体制に加え、販売体制、サポート体制をさらに強化していく。

新旧4領域で業績好調

 インターコムは、パソコン通信ソフト「まいと~く」、EDI通信ミドルウェア「Biware」、情報漏洩対策+IT資産管理ツール「MaLion」をはじめ、通信領域を軸にこれまで多数の自社開発ソフトウェアをリリースしてきた。現在は、通信領域の技術を応用する形で業務を支援するソフトを開発し、時代に合わせた切り口で、「働き方改革」「リモートソリューション」「運用マネジメント」「通信ミドルウェア」の4領域を入り口として商品を展開している。
 
高橋啓介
会長兼社長CEO

 今年度の業績は、それぞれの領域で「同様の水準で好調に推移している」(高橋会長)という。具体的には、19年11月末時点で「今年度の売り上げは毎月前年比で上回り、営業利益率は20%台後半という高水準を確保している」状況だ。

 その背景にあるのが、ストックビジネスとなるサブスクリプションモデルの定着である。クラウドやモバイルの普及で、ユーザーのソフト利用形態は購入から借りる形へとシフトしている。同社は、旧来の売り切りモデル、いわゆるパッケージソフト全盛の時代からビジネスを続けているが、それを少しずつ時代に合う形へとシフトさせてきた。それが、ここにきて結実した。

期待の新サービス「Hasso」

 その中で一貫して注力し続けるのが、商品企画と開発への投資だ。単に旧来の商品をクラウドに対応させてきただけでなく、その間も常に時代に合わせた新商品のリリースを続けている。「インターコムのミッションは商品開発。ストックビジネスを続けていくためにも、いいものをたくさん作らないといけない」と高橋会長は語る。

 直近の新商品には、電話受付業務を自動化するクラウド型ビジュアルIVR(電話自動応答)サービス「Hasso(ハッソ)」がある。メーカーやサービス会社の顧客が問い合わせした時に、顧客のスマートフォンに視覚化した案内メニューを提供し、顧客を待たせずにFAQなど最適なアクセス手段へスムーズに誘導することで自己解決を促す。Hassoで自動対応することで、受付時間拡大や業務効率化を実現する。「例えばテレビの通販番組では、1商品で億単位のお金が動く。ユーザーの電話からの問い合わせに対し、多様な解決方法を提供することによって、ピーク時にオペレーターが対処できない“あふれ呼”による機会損失を防ぐことができる」(高橋会長)というものだ。

 このように、ストックビジネスの収益を維持していくため常に新しい商品を追加してカバーしていく。「現在もいくつか新しい企画を進めている。その中から1商品を今年リリースする予定」(高橋会長)としている。

地方に営業拠点も開設

 商品の販売は基本パートナー経由のため、ユーザーだけでなく販社やパートナーにとっても良い商品、つまり売りやすい商品提供も重要課題である。サブスクリプションモデルでは解約が簡単にできるため、ユーザーに対して一貫したフォローが大切になる。そこで、認知から購買、利用を開始した後まで継続的にカスタマーエクスペリエンス(CX)を高める取り組みを強化していく。

 まず、マーケティングの強化として、19年から新たに主要駅でのデジタルサイネージ広告を大々的に始めた。フェルメールの絵画を通じて商品ブランドと会社名をアピールし、パートナーがインターコム製品を売りやすい環境へと整える。同時に、各パートナーの販売活動へのサポートにも注力し、営業拠点を増やしていく。大阪、名古屋に加えて、19年12月には福岡に拠点を開設、九州エリアを強化した。今後、他の地域への進出も図る。

 サポート領域では、16年に千葉・南房総市に設立したインターコムR&Dセンターで、地元の若者を中心に人材を雇用し、コールセンター人材の育成が進んでいる。コールセンター人材が育ったので、新たに人材を雇用してソフト開発に注力していく。

 さらなるサポートの強化も行っている。購入後のユーザーサポートはもちろん、購入検討時から導入作業、アフターフォローまでをカバーしていく。国産ソフトの強みを生かし、企画・開発、販売、導入、保守までを一貫して行えるのが、信頼されているポイントであるという。「例えば、昨今の働き方改革で最も困っているのは総務部。そこには、ITに詳しい人はいない。そこで有償でもサポートを付けて、何かあったらいつでもどこでも助けてくれると思ってもらえるようにすると評価される」(高橋会長)としている。

 そのサポート強化を担うのが、従来、本社内でコールセンター業務を行っていたスタッフである。直接ユーザー先に出向いて導入支援サービスや教育サービスを行うフィールドエンジニアとしてのスキル転換が進んでいる。ソフト販売のみならず、従来のコスト部門といわれる領域でも新たな収益を生むための体制構築が整い、「調子がいい」現在の立ち位置の確保に至っている。