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鈴木啓太氏(AuB代表取締役) Jリーグから腸活ベンチャーへ サッカー元日本代表が語る「ネクストキャリア」

2022/02/10 09:00

週刊BCN 2022年02月07日vol.1910掲載


 「週刊BCN DX Session」初日、元プロサッカー選手でAuB(オーブ)の鈴木啓太代表取締役が登壇し、「新たな挑戦!ネクストキャリアの旗揚げ法」をテーマに基調講演を行った。

AuB
代表取締役
鈴木啓太氏

 鈴木氏はJリーグの浦和レッズで16年間にわたって活躍。日本代表に選出されるほどの実績を残したが、引退後はサッカー界にとどまらず、アスリートの腸内細菌を研究するベンチャーを起業している。

 選手時代に一般企業と比較した際のJリーグクラブの売上規模の低さでプロスポーツの未来に危機感を覚える中、長年応援してくれているサポーターが加齢に伴う健康問題でスタジアムに足を運んでくれなくなってしまったことで健康の重要性を認識。自身が現役時代に母親の教えで腸活を実践していたことから、ネクストキャリアに同領域での起業を選んだという。

 「アスリートはコンディションを常に意識している。そのデータや取り組みをサービスやデータとして活用できたら、ファンやサポーター、地域の方々に役立つのではと思い、起業に至った」と鈴木氏は語る。

 起業後、腸内細菌を分析するために6年間で33種目、約1000人のアスリートの検体を収集。「世界で一番アスリートのうんちのデータを持っている会社」(鈴木氏)に成長した。人によって腸内細菌の数や量、種類が異なる中で、アスリートの腸内で善玉菌の一種である酪酸菌が42倍以上いることと多様性が一般人に比べて高いことを突き止め、独自の腸内細菌素材「アスリートビオミックス」を開発した。現在、サプリメント「AuB BASE」とマルチ栄養プロテイン「AuB MAKE」を販売している。

 鈴木氏がこだわるのは、“ネクストキャリア”という表現である。よくスポーツ選手の引退後の活動や挑戦を表現する際に“セカンドキャリア”というが、「キャリアとは人生そのもの。セカンドキャリアというと、サッカーと全く切り離して考えるものと捉えられるが、ネクストキャリアは、サッカー界で学んだことを生かしてキャリアを進めていくもの」と定義する。

 この考え方は、キャリア形成に悩んでいるビジネスパーソンに対しても適用できると鈴木氏はいう。最後に、「サッカー選手になるときも、起業するときも最初は無理だろうといわれたが、自分はこれがやりたいと旗を立てた。すると、素晴らしい仲間や助けてくれる人が現れる。皆様も自分の夢ややりたいことに挑戦してほしい」と締めくくった。
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外部リンク

AuB=https://aub.co.jp/

【千人回峰】元日本代表が選んだ 腸内環境ビジネスというセカンドキャリア――第292回(上)

【千人回峰】楽しさこそが生きることの本質であり 楽しむことが成長につながっていく――第292回(下)