【会社概要】昨年はネットワーク関連機器の急激な値下げ競争で一気に市場を創出したメルコ。「台湾のICメーカーからもメルコと組めば成功するといった認知がつくれるようになった」と企業体質の強化を図ってきた。総合周辺機器メーカーとして、名古屋のメルコ、金沢のアイ・オー・データと並び立てられるが、アイ・オーが情報家電といわれる非パソコン市場での周辺機器市場の創出に動くのに対し、主軸のメモリ事業で世界市場上位を狙うのが牧社長の見据える市場だ。一昨年、買収した米国の中堅ホワイトボックスメーカーを始め、メモリビジネスを主軸にどこまで世界市場でシェアを拡大できるかが注目される。

世界進出を本格化米国開拓には手応え

メルコ

 「昨年は何回米国に行ったかな。米国市場の開拓はようやく方向性が見えてきました。とにかく、国際競争力をつけたい。今はそれを一番重視しています」メルコの海外進出が本格化している。総合周辺機器メーカーとして今年25周年目を迎えたメルコだが、昨年は国内ではネットワーク製品群でシェアを一気に高め、同時に海外へのメモリ販売にも力を注いできた。国際的な部材調達力でコスト競争力をつけるため、「世界上位10社のなかに入っていく」方針を掲げている。「ビジネスをゲームに見立てたときに、プレイヤーは決して手を抜いてはいけない」という牧誠社長に、同社の現状、今後の展開について聞いた。
(聞き手・石井成樹/構成・遠藤剛)
 

米国での基盤づくり急ぐ「PCアセンブラ」に狙い

─ 昨年を簡単に振り返ってもらえますか。

牧 昨年はとくにメモリにとっては踏んだり蹴ったりの年でしたね。それ以外の事業が非常にがんばっていたので、業績としてはまあまあできていますが。また、海外、とくに米国進出で非常に苦労しましたが、やっと道筋が見えてきましたね。

─ 海外というと。

牧 2年前に米国のテックワークスという企業を買収しまして、海外進出に取り組みだしたんですが、なかなかうまく立ち上がらない。そこで、昨年の半ばから私自身が現地に何度も行って指揮を執ることにしたんですが、インターネットや世界の動きが間近に見えてきた感じです。

 拠点は米国とドイツにありますが、まずは米国市場に根づきたいと思っています。今、米国ではPCアセンブラと言うホワイトボックスベンダーが急成長を始めています。各社の規模は大きくはないのですが、ユーザーの要望に応じてパソコンを組み立て、懇切丁寧にサポートしている。地場に完全に根づいて、義理と人情を生かしてというか、顔の見えるサービスを通じてユーザーの信頼をつかんでいるわけです。

 こうしたPCアセンブラに当社のメモリを売り込むことで、まずは海外における基盤をつくっていきたいと思っています。

─ 海外進出はどのような動機から取り組みだしたのですか。

牧 中期計画を策定したなかで、一番力点をおいたのが、われわれは日本のナンバーワンではなく、グローバルランキングで上位に入っていこうということなんです。世界規模で考えないと生き残れない。ご承知のように、海外からどんどん競合会社が入ってきますから、受け身だけでは競争力が衰えてしまう。

 とくにメモリなどは、調達量でコストが決まってしまう側面があるわけです。海外に販路を伸ばし、まずボリュームを確保する必要があります。

 キングストンが本家帰りをしましたが、これは怖い。本気になって日本に再進出を図ってきたら、安心できません。年間1000万台の市場のなかで1位だとしても、世界の市場ではたかがしれていますからね。

ネットワーク事業を確立今年は無線LANに注力

─ 国内ではネットワーク事業が一気に立ち上がった形ですね。

牧 そうですね。新しく設置したネットワーク事業部ががんばっていましてね。事業部制の効果が出たわけですが、その一方で、非常に若いから、やりすぎのところがあるかもしれない(笑)。この事業に参入したのは、あらゆる製品が性能は上がり、価格は下がっているのに、ネットワーク製品だけなぜ高止まりしているんだとの問題意識が出発点だっだんですが、おかげさまでユーザーの支持をいただき、事業は順調に伸びています。

 今年は、無線LANに力を入れます。パソコンが1人1台の時代に向かいつつあるとき、無線LANは必須になるはずですよ。無線LANなら、企業においては人事異動のたびに配線を考える手間もなくなりますし、家庭でも手軽にパソコンを2階にもっていって使うといったことができるようになります 

─ ほかの事業部の動きはどうですか。

牧 ストレージ系は、単価ダウンが厳しいのですが、大容量化で新しい市場の開拓が進んでいます。例えば、HDDは20-30GBの容量になったことで、ビデオ録画など徐々に情報家電の方向にも市場が見えそうですが、まだホームサーバーまではいかないでしょうね。HDDが家電に入っていくのは確かでしょうが、まぁ、急ぐことはないと思っています。

─ ハードビジネスの時代は終わったというような言い方もありますが、どうお考えですか。

牧 それは絶対にあり得ませんよ。ハードビジネスにどう付加価値をつけていくかということを真剣に考え、知恵を出させていますが、インターネットをやってみて感じるのは、血の通ったサービスの必要性ですね。インターネットというのは、何でも機械的に割り切ろうとし、それに携わる人間までもがそうなる可能性が見えます。そこに、われわれのような企業にとっては、何らかの活路があるように感じますね。

 メルコの仕事、存在価値としては、今はパソコンを中心に据えて、それをいかに使いやすくするかに資産を投入していくことで、存在価値を高めていきます。ネットワーク製品の低価格化によるコモデティ戦略で一気に市場が広がりましたが、最終的にお客さんに喜ばれなければ存在価値がありません。そこを見据えていこうと思っています。

─ 売上高1000億円という目標への手応えは。

牧 1000億円という金額の問題ではなく、ワールドワイドでもっと上位の企業と戦っていかねばと考えています。キングストンはメモリビジネスだけで1000億円ですよ。世界市場を視野に、上を目指して戦います。

【会社概要】

 昨年はネットワーク関連機器の急激な値下げ競争で一気に市場を創出したメルコ。「台湾のICメーカーからもメルコと組めば成功するといった認知がつくれるようになった」と企業体質の強化を図ってきた。総合周辺機器メーカーとして、名古屋のメルコ、金沢のアイ・オー・データと並び立てられるが、アイ・オーが情報家電といわれる非パソコン市場での周辺機器市場の創出に動くのに対し、主軸のメモリ事業で世界市場上位を狙うのが牧社長の見据える市場だ。一昨年、買収した米国の中堅ホワイトボックスメーカーを始め、メモリビジネスを主軸にどこまで世界市場でシェアを拡大できるかが注目される。

【眼光紙背】

 「他社に先駆けて低価格化、コモデティ化を図ると、必ずお店の嫌われ役になってしまう。でも、結局競合他社さんも低価格化した製品を投入してくるしね」と周辺機器市場のリード役を自負する。「秋葉原の現場では日々価格競争をしながらも、仕事帰りは一緒に酒を飲みに行くような店員の姿があるじゃないですか。ああいう競争をしていきたい」と牧社長は続ける。

 その一方で、総合周辺機器メーカーは「ある意味では大衆食堂的な面もあって、悩みもあるんです」。総合周辺機器ベンダーだからこそ、特化できない逡巡があるという。

 「いまのインターネットはシステムそのもの。冷たいんですよね。でも、だからこそわれわれの活路がある。ビジネス展開はこれから研究中」。ちゃめっ気が多い。肺炎で倒れる暇なんてないですね。

(之)