SaaSの販売モデルを創造
──最近は、SaaSなどサービス型モデルでアプリケーションを販売する動きが活発になってきています。このようなビジネスモデルは、製品販売の“ブレーキ”になるのでは?
大久保 先ほどのコンサルティングサービスもそうですが、やはり今後は「製品ありき」ではなく「サービスありき」といえます。そういった点では、ソフトウェアの販売でもサービス型モデルを取り入れるべきでしょう。流通のあり方を追求していくうえでも、新しいビジネスモデルを構築しようと考えています。
──具体的には?
大久保 通信事業者とのアライアンスですね。通信事業者は今、SaaS事業の本格化に力を注いでいます。そこで、販売面で当社が協力する。通信事業者が提供するSaaSアプリケーションと携帯電話、固定電話などを組み合わせて提供していきます。
機器販売については、当社の子会社であるフォーバルテレコムと光通信さんの子会社であるアイ・イーグループが合弁で設立したホワイトビジネスイニシアティブが担当します。当社が担当するのは「ビリング(一括請求)」です。これまで業界では、アプリケーションをSaaS化したものの、誰が売るのかという点で課題を抱えていた。これを今回のモデルで解消するというわけです。
──どの通信事業者とアライアンスを組むのですか。
大久保 今まさに詰めている段階ですので明らかにはできませんが、ある通信事業者が積極的に応じてくれました。近く提供する予定です。また、特定の通信事業者に限定せず、いくつか協業することを計画しています。
また、大手のITメーカーも動き出しました。競合といわれていた当社と光通信さんがSaaSの販売モデルを構築したということで、拡販してくれるとみているのではないでしょうか。実際、「一緒にやりたい」と話を持ちかけるメーカーも出てきています。
──市場については、どのようにみていますか。
大久保 製品売りは、縮小傾向に向かうのは確実です。実は、売る側にとっては売り上げが伸ばせない時代に変わるということなんです。しかし、顧客企業の業務や経営を本当に考えれば、ITシステムを「所有する」のではなく「使う」ことを提案するのが望ましい。こうした時代の変化に、ベンダーは対応していかなければなりません。
──そういった市場のなかで、今後の成長率については、どのような計画を立てているのですか。
大久保 今年度に関しては、売り上げ減少の見通しを立てています。しかし、利益については大幅に伸びる。また、5年以内には全盛期時代の利益(営業利益が18億円程度など)並に引き上げることを目指しています。ただ、ビジネスモデルを変革しているため、全盛期時代よりも利益の質が大きく改善されます。そういった意味では、真の全盛期が到来する。これが“第2コーナー”の目標です。
眼光紙背 ~取材を終えて~
顧客企業への導入ポイントは用途提案。「中小企業の多くは誰に依頼すればいいかが分からない。売る側は単に販売すればいいというわけではない。顧客企業がITシステムなどをツールとして使えるようにしなければならない」。そういった考えからコンサルティングサービスを始めた。これにより、顧客離れが少なく、1万社を確保している。
かつての不正が発覚し、今年3月に公表した。「投資家や関係者に申し訳ない」。すべてを洗い出して原因を究明した。ビジネススタイルをみれば、「二度と起こらない」ことは明白だろう。
意識するベンダーは大塚商会だという。競合かどうか聞くと、「競合なんておこがましい。学ばせてもらっている」。誰もができそうで、できないことを具現化しているから。「実は、経営者同士で頻繁に会っている」。二人の経営者が業界発展に向けて話している姿が目に浮かぶ。(郁)
プロフィール
大久保 秀夫
(おおくぼ ひでお)1954年東京都生まれ。国内や外資などの企業を経て、1980年にフォーバルを設立。現在は代表取締役会長兼社長。関連団体の役員を務めた経歴を持ち、テレコムサービス協会理事や日本ベンチャー学会理事、東京商工会議所産業人材育成委員会委員長などを歴任。
会社紹介
フォーバルの2008年度連結業績は、売上高が343億5800万円(前年度比0.1%増)と若干の増収、営業損益が1億1200万円の黒字(前年度は9億3300万円の赤字)、経常損益が1700万円の黒字(同12億6400万円の赤字)と、黒字転換を果たした。今年度は、売上高340億円(前年度比1.0%減)と減るものの、営業利益で前年度の3.5倍以上となる4億円、経常利益で23.5倍以上の4億円などを見込んでいる。