DB(データベース)ソフトベンダーのファイルメーカーが、SIerとの協業強化で新しい事業領域に踏み込もうとしている。同社の製品は“簡易型”と位置づけられ、小規模企業を中心にユーザーを獲得してきたが、今後は大企業などの導入を促すなど大規模案件の獲得を目指す。今年2月1日付で社長に就任した粟倉豊氏は、「当社の製品は大きな可能性を秘めている」と断言する。
佐相彰彦●取材/文 ミワタダシ●写真
1~3月は過去最高の売上高
──社長就任から6か月が経過しましたが、ビジネスの状況はいかがですか。
粟倉 計画通りです。多くの企業が厳しい状況にある市場環境の下、順調に推移しています。
──前年度と比べ、業績面で伸びているということですか。
粟倉 とくに、当社でいうところの今年度第2四半期(09年1─3月)が非常に大きな伸びを示しました。売り上げと出荷量の両方で過去最高を記録したのです。前年度は、私はまだ当社にいませんでしたので、社内的な改革によって伸びたとは断言できません。ですが、第2四半期に新製品のDBソフトを市場投入したこと、加えて多くの企業に期末ということで導入を決断していただけたことなどが業績伸長の要因です。第3四半期は期初を迎える企業が多いということもあって、第2四半期と比べるとさすがに下がってはいますが、前年と比べれば伸びています。そういった点で、良い方向に進んでいると確信しています。
──社長就任から力を注いできたことは何ですか。
粟倉 とにかくパートナー企業とユーザー企業への挨拶に回りました。当社の製品がどのようなメリットをもたらすのかを理解したかったのです。そのなかで感じたのは、ユーザー企業は当社の製品を非常にうまく使いこなしてくれているということです。一番の売りであるユーザーインタフェース(UI)を評価してくれているのです。パートナー企業に関しては、ソフト開発を中心とした支援制度である「FBA(ファイルメーカー・ビジネス・アライアンス)」のメンバーから話を聞いたのですが、当社の製品をベースに優れた製品やサービスを開発してくれていることが理解できました。ですので、このような状況を最大限に生かさなければならないと判断しています。
──と、いいますと。
粟倉 当社の売り上げをみますと、全体の50%以上を数人から数十人規模のユーザー企業に対する製品の提供で占めています。これにより売り上げが増えたので、DBメーカーとして小規模企業の領域でポジションを確立したといっていいでしょう。ただ課題として残るのは、その領域だけを追い求めているだけだと、次のステージには上がれないことです。具体的には、ライセンス販売の増加やメンテナンスで稼ぐ。つまり、「売り切り」ではないビジネスも追求しなければならないということです。そこで、エンタープライズ領域で大規模なシステム案件が狙える仕組みをつくっていきます。私が社長に抜擢された理由でもあります。量販店やリセラーを通じてパッケージで売る方法に加え、ライセンスを中心に新規顧客の開拓やリプレースを促していく。さらに、パートナー企業に当社の製品を開発ツールとして捉えていただき、大規模案件が獲得できるソリューションを創造していく。こうしたビジネスモデルを構築していきます。
──「ソリューション」として提供するための具体的なシステムやサービスの例はありますか。
粟倉 先ほども申し上げたように、当社の製品は開発ツールになり得る。DBですので、ITインフラで提供できるということです。しかし、これまでミッションクリティカルな領域が不得意だったので、その領域でのITインフラとして使ってもらえなかった。ただ、ユーザー企業からUIを評価していただいていますし、ミッションクリティカルなITインフラとも互換性は十分にある。当社の製品とミッションクリティカル領域の製品を組み合わせることが可能ということです。
エンタープライズ領域で大規模なシステム案件が狙えるような仕組みをつくっていきます。
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