ストレージ専業メーカーのアイシロン・システムズが、販売代理店を通じた製品拡販の体制整備に踏み切った。新規顧客を開拓するために低価格パッケージを提供するなど、販売代理店が有利になる策を講じている。また、仮想化を切り口にストレージのリプレースを促していく方針だ。同社は2009年7月にトップが交代。社長に就任したティム・グッドウィン氏は、「当社の製品を使わなければならない理由を訴える」としている。
低価格パッケージを市場投入
――社長に就任した際、アイシロンにどのような印象をもちましたか。
グッドウィン 当社のことは以前から知っており、外部の立場から「優れた製品を開発するメーカーだな」と思っていました。入社してからは、新しい時代に適合する製品を市場に投入していると実感しています。また、挨拶回りに行くと、すべての既存顧客が当社の製品を好んで導入していることがよく分かりました。
――その過程で、課題が浮かび上がったというようなことは?
グッドウィン 課題というよりも疑問に感じたことですが、「なぜ、もっと売れないのか」ということです。当社を成長させることが私の責務ですので、そのネックを解決していく予定ですが、確実に売れるはずの製品なのに、予想以上には売れない。これまでも他の日本法人でトップとして成長させた経験はありますが、それにも増して当社は大きく成長する可能性を秘めている。その可能性を現実のものにするためには、当社が訴えているメッセージと製品を浸透させるチャネルを強化していく必要があると認識しています。
――具体的な強化策は?
グッドウィン まずメッセージについては、これまでは当社製品の優位性を訴えることが多かった。それを、当社製品を・使わなければならない理由・ということを重視して訴えていきます。実は、ストレージのビジネスモデルというのは、さほど変わっていない。とくに日本ではそうなのですが、サーバーなどと比べてストレージは重要視されていなかったのです。その結果、ユーザー企業のシステム環境は、サーバーにつないでおきさえすればいいといった状況です。だからこそ、10年前のビジネスモデルでも通用したのです。
しかし、時代の変化とともにユーザー企業のニーズは劇的に変わっています。最近では、ストレージの重要性が認識されつつある。そこで、当社の製品を使わなければならない理由を訴えるのです。以前から「クラスタストレージ」として、他社とは一線を画した製品を提供していました。最近は、「スケールアウトNAS」、つまり仮想化などトレンドの環境に適した技術を搭載しているのです。これまでストレージの世界は、ほかの分野とは別の次元のものだった。「化石」と思ってしまうほどの古い概念です(笑)。ただ、一方で国内では、サーバーを中心に仮想化ニーズが出ている状況でもある。それに適しているのが当社の製品ということなのです。
ユーザー企業にストレージの重要性が認識されつつある。そこで、当社の製品を使わなければならない理由を訴える。
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