2010年4月1日、14事業会社を傘下に抱えるJBCCホールディングスのトップに、山田隆司氏が就いた。厳しい環境のなかでの船出だが、目標として創業50周年を迎える2014年に売上高1000億円、営業利益率5%の確保を掲げる。クラウドを中心としたサービス事業へのシフトと、海外市場での売り上げ拡大がキーポイントだ。物販ビジネスが柱の同社にとっては、サービス事業への移行は簡単にはいかないはず。だが、山田社長は「先を見据えて今、変わるとき」と断言し、変化を忘れていない。
年商1000億円に再挑戦
──以前から、業界では「次の社長」と噂されていて、「満を持しての就任」という印象です。まずは、就任要請があった時の率直な感想を聞かせてください。
山田 今年2月に石黒(和義・代表取締役会長)から打診されました。まったく考えていなかったので驚きましたが、(石黒会長が)考え抜いて出した結論のはず。やらせてもらおうと即座に思いました。
──就任早々ですが、会社をどのような姿にしようと考えておられますか。業績目標を教えてください。
山田 本来であれば、来年度から中期経営計画を走らせるのですが、景気がこんな状態ですから、単年度計画を立てて様子をみようと思っています。来年度の計画はまだ話せませんが、長期的には創業50周年を迎える2014年度に売上高1000億円、営業利益率5%を目指します。何度もトライして、あと一歩届かなかった数字。改めてこれに挑戦します。
──厳しい環境での船出です。
山田 不景気の影響で、ハードにしろソフトにしろ、IT製品の物販ビジネスはかなり厳しい状況です。現時点でいえば、当社は物販事業のボリュームが大きいですから、昨年度(10年3月期)業績はその影響でかなり落ち込みました。現在も予断を許さない状況です。
しかし、昨年度第4四半期からは商談件数が徐々に増えています。「100年に一度の大不況」は、ユーザー企業のIT投資意欲を確実に冷やしましたが、復活の兆しも感じています。
──中長期的にみて、伸ばすビジネスは何に定めましたか。
山田 増加する商談のなかでも、引き合いが強いのは、やはりサービス。ITの利用形態が「所有」から「利用」に大きくシフトし、ユーザー企業はサービスとしてITを利用したいと強く思っています。
当社の経営理念は「ベストサービスカンパニー」ですが、現時点では物販事業のボリュームが依然として大きく、まだまだプロダクトアウト的。サービス事業へのシフトを加速し、事業の柱をサービスに移します。
──ポイントは、やはりクラウドになりますか。
山田 情報システムの保守や運用など、サービスにもさまざまなモデルがありますが、重点的に強化するのは、当然クラウド。クラウドといってもさまざまですが、当社は4モデルを展開します。
まずは、ユーザー企業のプライベートクラウドを構築します。当社は、350台のサーバーを「VMware」を活用して4台に集約した経験とノウハウをもっています。それを生かして、各企業が独自にクラウドを持ちたいというニーズに応えます。二つ目が、「Google Apps」など他社が提供するパブリッククラウドの導入やコンサルティングサービス。三つ目が、他社のクラウド基盤上で自社開発ソフトをサービス化させて販売するモデルで、アマゾンとNTTコミュニケーションズの基盤で提供しています。そして最後が、自社のクラウド基盤上で展開するクラウド「iクラウド」。日本IBMの「System i」を活用したクラウドサービスです。
──クラウドは、これまでの製品販売やSIの代わりに利用されるはず。だとすれば、従来のビジネスは、確実に縮小するとみられます。「諸刃の剣」ですよね。
山田 情報システムが仮想化や自動化、標準化されてクラウド環境が進めば、その技術を使っていなかった時代に比べて、ある領域のハードやソフトの販売やSIは当然減りますよ。そのカテゴリの売り上げも減少するでしょう。ただ、だからといってSIerのビジネスが減ることにはなりません。ユーザー企業は二重、三重で投資してきた費用が浮けば、きっと攻めの新規IT投資に回すはずです。成長のためにITは欠かせませんから。その攻めの投資を獲れれば、成長できます。
当社に限っていえば、基幹系以外のソリューションが手薄だった部分があるので、BIやデータ連携、フロント系ソリューションなどを新たに強化し、その攻めの投資を獲りにいこうとしているのです。
確かに、クラウドは「諸刃の剣」の面があります。ですが、ユーザー企業のクラウドに対する関心は日増しに強まっています。「クラウドはできません」なんて言えば、すべてのビジネスを失う可能性もある。たとえ従前のビジネスに悪影響が出ても、クラウドを強化しないという選択肢はありません。
事業の柱をサービスに移します。クラウドは当然、強化分野。
既存SIをつぶす可能性がありますが、そんなことを言ってる場合ではありません。
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