完全ウェブ型ERP「GRANDIT」が誕生して6年。導入社数は500近くに達している。インフォベックは今年を「クラウド元年」と位置づけ、プライムパートナーとの協業を進めていく。SI企業だけでなく、サービス事業者との提携も検討し、パートナー制度の整備に取りかかる。クラウドサービスを加速し、この領域で3年後に100社への導入を目指す。
IFRSとクラウドが重要テーマ
──今年4月に社長に就任されました。新社長としての意気込みを聞かせてください。
山口 「GRANDIT」が本格的に普及し始めたのは2004年の終わりくらい。ユーザーも企業も500社近くに達して、かなり短期間で成長したと思っています。競合ベンダーに比べればまだまだですが、この“幼年期”の実績を踏まえて、いよいよ飛躍していく時期だと捉えています。
──内部統制、あるいは国際会計基準(IFRS)など、会計制度が複雑化するなかで、09年に新たにCPA(Certified Public Accountant)パートナーを設けられました。その意図するところは?
山口 重点的に挑んでいくテーマとして、二つを考えています。一つはIFRSに対応したERP。企業はこれから、さまざまな影響を受けます。そこで、CPAパートナーを新設して、従来のシステムインテグレーション(SI)中心のアライアンスから脱皮して、会計のプロフェッショナルであるコンサルティングファームや監査法人に加わってもらっています。いきなりシステムを構築するのではなく、企業活動に制度としてどういうインパクトがあって、そうであるならこうしよう、というように、ユーザー企業が抱える課題を解決できるわけです。この領域は力を入れて強化していきたい。
二つ目は、SaaSやクラウド・コンピューティングなど、ITの利用形態の大きな変化です。クラウドはフロント系で普及が進んでいますが、ERPの場合はまだこれから。今後間違いなく動きが出てきます。当社としては、インフラやセキュリティなどトータル的なサービスをもつベンダーとのパートナーシップを強化していきたい。メーカー系ベンダーや(次世代ERP)コンソーシアムメンバーの親会社との絆を深めていきます。
──内部統制やIFRSで生まれる商機を掴むために、どのような施策を打ち出していきますか。
山口 「GRANDIT」はワークフローを実装しているところに特色があります。社内の管理部門に承認されなければ、企業のデータとしてアクティブにならないトランザクション型のワークフローで、これはJ-SOX法(金融商品取引法)対策として高い評価をいただきました。IFRSではコンプライアンス(法令順守)が当たり前になってきます。コンプライアンスについては、一つの大きな柱として機能を強化していきたい。
IFRSの商談が活性化するのは、11年度以降とみています。需要は、会計制度だけでなく、サポート保守期限切れなどが結構大きなウェートを占めています。ユーザー企業に対しては、安心してもらえるように機能アップを実施していき、クオーター単位で定期的にメッセージを打ち出していきます。並行して、短納期・低コストで導入できる「GRANDIT-Symphony」をさらに整備拡充していきたい。
10月には、GRANDITコンソーシアム主催の「GRANDIT DAY」を開催しようと考えています。そこでクラウドのサービス体系を大々的に打ち出したいですね。
2010年度は「クラウド元年」と位置づけ、
先進的なプライムパートナー企業との協業を進めていきます。
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