今年4月、富士通と富士通エフ・アイ・ピー(FIP)は、データセンター(DC)事業を統合・再編した。結果として、サービスデリバリ機能とサービス/ツールの開発機能は富士通FIPに集約されることになった。時を同じくしてトップに就任した米倉誠人社長は、この統合・再編の流れをリードしてきた人物だ。DCを基盤として事業を展開してきた同社のビジネスモデルをアップデートし、「富士通グループ全体の変革をけん引する」と意気込む。
DC事業の統合・再編をリード
──富士通本体とのDC事業統合・再編とほぼ同時に、社長に就任されましたね。 クラウドファーストの時代になって、ハウジングやホスティングをはじめとする従来型のDCのビジネスモデルでは成長を続けることが難しくなりました。もはや、グループ内で各社がバラバラにDCや開発ツールに投資する時代ではないということで、ここ2~3年、FIPと富士通の間で、インフラなどの標準化、統合みたいなことを検討していたんです。そして、今年の4月1日に、富士通がDC事業のガバナンスを担い、FIPがサービスを一手に引き受けるという役割分担をはっきりさせて、人員も大きく異動させました。
この統合の動きを引っ張ってきたという自覚はあるので、5%くらいはFIPの社長に就任する確率があるかなと思っていましたが、実際に決まったときは、大変なことになってしまったというのが率直な感想でしたね(笑)。でも、ちゃんと責任を取れということだと理解しています。
──富士通で長年キャリアを積んでこられたわけですが、FIPと協業することも多かったとうかがっています。 富士通が1985年にVANサービスを始めたときに、その部署に配属されてシステム開発や運用に携わったのですが、FIPはその少し前から中小企業VANサービスを始めていましたので、連携して仕事をすることがかなりありました。その頃からのつき合いです。その後に担当したDCサービスでも、いっしょに走ってきたイメージですね。
──FIPはどんな強みのある会社だとみておられましたか。 「30年以上の経験に裏打ちされたサービスビジネスのノウハウ」に尽きると思います。プロダクトも売っていますが、お客様のニーズをうまく吸い上げてサービスを組み立てる能力、そしてそれをしっかり売っていく営業力は、グループのなかでもとくにすぐれている会社です。この長所は、さらに伸ばしていきたいところですね。富士通と統合・再編したDC事業では、ビジネスの立ち上げ、日々のデリバリをしっかりと担っていくことはもちろんのこと、サービスビジネスに特化した当社の営業が、富士通の営業と一体となって力を発揮することも重要な使命だと考えています。
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