ドイツでみた「リスクも折半、利益も折半」
──JSOLの注力分野について聞かせてください。 ご存じの通り、当社はNTTデータとシンクタンクの日本総合研究所の折半出資のSIerであり、ビジネスコンサルティング(ITコンサル)とSIerの両方の機能を兼ね備えています。先進的な領域を強みとしていて、例えば、オムニチャネルやマーケティング・オートメーションなどの「顧客接点系」や製造業の分野でのCAE(コンピュータ支援設計)やIoT(Internet of Things)、そのほかヘルスケア領域にも力を入れています。
ヘルスケアでは、日本総研が「ギャップシニア」向けのサービス創出に力を入れており、当社はそのIT部分を担当しています。ギャップシニアとは、「元気な状態」と「要介護状態」の狭間にいる高齢者のことで、民間事業者や自治体などと連携して、要介護状態になりにくくするためのサービスの創出を目指すというものです。シンクタンクらしい発想で、当社がここに関われるのもIT専業のNTTデータと日本総研との連携ポジションにいる要素が大きい。
もともとDWH(データウェアハウス)をはじめとする分析系の技術を蓄積しており、今でいうビッグデータ解析に通じるものです。オムニチャネルやIoTなどは、こうした当社の技術的バックボーンを存分に生かせると自負しています。
──強みとする技術を、どう売り上げや利益に結びつけていきますか。 海外の話になってしまいますが、ヨーロッパでは複数の有力な地場SIerをNTTデータグループに迎え入れています。日本のSIerのことは体感的にわかりますが、欧州の地場SIerがどんなビジネスをしているのかよく知りませんでしたので、欧州の責任者になったときはできる限り現場の方々の話に耳を傾けました。
SAPを活用したシステム構築(SI)に強いitelligence(アイテリジェンス)という会社がドイツにあるのですが、彼らは「中小企業向けのビジネスのほうが儲かる」と言うのですよ。私は名古屋に勤務していたことから、日本では、中小企業向けのSIは、決して粗利のいいものじゃないという先入観が経験上あったので、驚きました。実際、数字をみても、へたな大企業向けのビジネスよりも粗利がいい。
──つまり、どういうことなのですか? 仕組みは簡単で、大企業向けのシステム構築プロジェクトの(大して重要でない)いちパートを担当するよりも、中小企業が活用するべきシステムのすべてを請け負ったほうが価値を認めてもらいやすい。顧客とSIerは「リスクも折半、利益も折半」で、システム化によって得た利益が、次のIT投資の原資となるのです。
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