日本マイクロソフトは、昨年12月に国内2か所にデータセンターを開設したことが大きな追い風となり、クラウドの成長が急加速している。パートナーへの手厚い支援を武器に、市場のイニシアティブを握ろうという勢いだ。そうした攻勢のタイミングを象徴するように、今年7月に、7年間社長を務めた樋口泰行氏(現・代表執行役会長)に代わり、平野拓也氏が新社長に就いた。平野体制で変わること、変わらないことは何なのか。大変革のさなかにあるリーダー企業の進路を探る。
Windows 10がもたらすビッグチャンス
──7月の社長就任から3か月経過しました。まずは近況から教えてください。 エンタープライズからコンシューマまで、人の生活の朝から晩までをこれだけ幅広くカバーしているITベンダーであることの強み、さらには大きな社会的責任を、社長という立場になってみて、あらためて強く感じています。
足下のミッションは、やはり先日リリースしたWindows 10の広がりをさらに加速させることですね。マイクロソフトは明確に変革を進めているわけですが、Windows 10はその象徴であり、新しい世代の新しい使い方を可能にしたものだと思っています。幸い、成功裏にローンチすることができて、アクティベーションもダウンロードも非常に順調です。
──日本マイクロソフトの法人向けビジネスはパートナーとともに成長してきたといえますが、このエコシステムに、Windows 10はどんな影響を与えることになるのでしょうか。 Windows 10の大きな特徴は、スクリーンのサイズにかかわらず、最適なインターフェースや操作性をワンプラットフォームで提供できるという点です。PC用につくったアプリケーションはタブレット端末でも使えますし、80インチの画面でも使えます。いちいちアプリをモディファイしたりという作業が必要なくなった。これは圧倒的な強みであり、デベロッパーにとっては大きなビジネスチャンスにつながるはずです。スケーラブルなクラウドのプラットフォームの新たなオプションが出てきたという見方もできますし、マイクロソフトがもっているカスタマベースやテクノロジー、Officeなどのアプリケーション資産を活用することもできる。新しい価値を生み出すソリューションを開発しやすい環境が整ったといえます。
──そうすると、その価値をISVなどに訴求するのが、まずはパートナー向けの重点施策になるということですか。 ものすごく重要なことだと思っています。過去、OEMパートナーのハードウェアにマイクロソフト製品を組み込んで売るというビジネスモデルが、当社の成長を支えてきましたし、いまでも柱の一つではありますが、クラウド市場での成長に必要なパートナービジネスのかたちというのは、ISVとの協業モデルなんです。われわれのテクノロジーをどうエンベデッドして使っていただくかというのが大きなテーマで、そのポテンシャルは従来のビジネスモデルと比べてもケタ違いです。
社内でも、ISVとの関係をどう構築していくかについては非常に熱い議論がありました。結果として、ISVパートナー専属の部隊をつくることになり、日本国内でも相当なリソースを割いて、ISVの皆さんを後方支援して、ビジネスチャンスを一緒につくっていくという活動を今期(2016年6月期)から本腰を入れてやっています。
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