2社の米国企業を買収
──社長に就任されてからの10年ということですが、どのような出来事が印象に残っていますか。 大きく二つあります。一つは、この10年間で2社の米国企業を買収したことですね。最初は2008年です。交渉中にリーマン・ショックが起きたこともあって買収すべきかどうか悩みましたが、結果的には正しい判断だったと思います。
──米国企業の買収には、どのような効果がありましたか。 買収した企業は、当社が扱っていた開発支援ツールの開発元でした。以前は、当社が代理店として販売するというかたちですから、要望を取り入れてもらうのに、どうしても時間がかかってしまいます。市場の違いもあって、当社からエンドユーザーの要望の反映を依頼するケースもたくさんありました。
買収によって日米間の意思疎通がしやすくなりましたし、当社主導によるグローバル展開のスピードも上がりました。開発支援ツールの事業では、現在でも積極的に新製品をリリースしています。当社の主力事業として、確固たる地位を築いています。
学校向け経理システムのLeySerは、国によって経理関連の法律や制度が違うため、海外に展開するのは難しい製品です。その点、開発支援ツールなら海外でもニーズがあります。その意味でも、買収は効果があったと思います。
──米国企業は、なぜ御社の買収を望んだのでしょう。 米国で必要とされる機能をある程度網羅したため、そのままでは大きな成長が望めないという判断があったのだと思います。当社から上げる機能改善要望のほうが多かったくらいですから。
また、当社とはパートナー企業としてのつき合いが長かったので、実績を考慮して判断したのではないでしょうか。
日本の社員の多くは、日本生まれで日本育ち。日本文化に染まっています。日本では常識でも、海外では非常識かもしれない。相手の文化を完全に理解するのは難しいのですが、米国企業の買収によって、協調することを学びました。今後の海外展開に大きな財産になると思っています。
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