パートナーが寄ってくる商材
──新たなパートナーが“寄ってくる”、その理由は何でしょうか。 先ほど、新たなアプローチが必要というお話をしましたが、パートナー各社にとっても課題は同じなんです。さまざまなセキュリティ製品が求められているにもかかわらず、導入・運用サービスを提供するためのセキュリティ人材が足りない状況です。すると、顧客に対してちゃんとしたサポートができなくなってしまう。そこで、効率化、自動化されたプラットフォームとしてセキュリティを提供できる当社のソリューションが求められるわけです。もちろん当社の製品が非常によく売れるというところが、パートナー様にとっては一番の魅力だと思いますよ(笑)。
──確かに「儲かる」のは最も喜ばしいことだと思いますが(笑)、パートナーのセキュリティビジネスの効率化にも役立つということですね。 SOC(セキュリティオペレーションセンター)サービスを提供されているパートナーも増えており、そのなかでコアのセキュリティ技術としてパロアルトネットワークスを採用したいというお話も多くいただいています。また、海外展開をされているお客様やパートナー様からは、日本でもグローバルでもきちんとしたサポートが提供される点を高く評価いただいています。
──パートナー向け支援策での拡充ポイントは。 やはり、ちゃんとしたサポートを提供することが非常に重要だと考えています。私が着任してから日本法人のオフィスを増床し、テクニカルサポートセンターを新たに設置しました。また、この4月にパートナープログラムをリニューアルしましたが、そのなかで新しい認定資格をつくるなど、セールスエンジニアの方へのノウハウ提供に力を入れていることがポイントです。従来の認定制度は製品に関する知識を認定するという性質が強かったのですが、これからは次世代ファイアウォール単体ではなく、最新のサイバーセキュリティの状況をお客様にわかりやすく説明したうえで、プラットフォームとしての提案を行っていただく必要があります。パートナー様の支援は長期的な視点での投資ですので、トレーニングはもちろん無料でご提供しています。
──機器だけを「売らんかな」で提案するのではなく、サイバーセキュリティの知見をあわせて顧客に伝えてもらうことで、結果的にプラットフォームとしての販売が伸びるという考え方ですね。 この1年半で市場に向けたメッセージを大きく変えてきたことで、今は多くのお客様がレガシーなアプローチでは組織を守れないということを認識しています。後は、新しいアプローチを具体的なアクションとしてどう落とし込むかという段階です。われわれのプラットフォームは、そのようなニーズにマッチする解決策を提供できると考えています。

‘われわれは外部から買収した技術もネイティブな製品に変えるよう注力する’<“KEY PERSON”の愛用品>これはワークライフバランス端末 業務アプリの利用はもちろん、毎朝のエクササイズ中にポッドキャストでニュースをチェックするのにも「iPhone 6」を活用。仕事の合間に家族の写真を開くこともあり、端末の使い方でビジネスと家庭のバランスをとっている。
眼光紙背 ~取材を終えて~
もともとはITユーザー側出身のアリイ社長。世界的なコンテナ船運航会社のAPAC責任者まで上り詰めながら、37歳にしてITの世界に飛び込んだのは、社会を支えるインフラとしてのITにポテンシャルを感じたからだという。前職のF5ネットワークに入社した理由も、東日本大震災で電話網がマヒしたとき、負荷分散装置に守られたソーシャルメディアは正常に機能していたことで、その威力を知ったから。
続いてセキュリティ業界を選んだのも、ビジネスや社会インフラのすべてにおいて今やセキュリティが“must”な存在だからだ。次に注目している業界があるのか探ってみると、「下の子どもが成人するまではセキュリティでがんばりたい。後16年くらいです(笑)」との答え。サイバーセキュリティの世界ではまだまだすべきことが多いと感じているようだ。(螺)
プロフィール
アリイ・ヒロシ
アリイ・ヒロシ(Hiroshi Alley)
1963年生まれ、横浜市出身。米国で大学卒業後、本田技研工業の現地法人で営業・マーケティング、品質管理などを担当。海運会社のP&Oネドロイドへ移籍し、事業戦略担当者としてアジア太平洋地域を統括。2000年に日本BEAシステムズ(現オラクル)へ入社してIT業界に転じ、05年に同社代表取締役社長に就任。07年のウィプロ・ジャパン代表取締役、11年のF5ネットワークスジャパン代表取締役社長を経て、14年8月よりパロアルトネットワークス日本法人の代表執行役員社長に就任した。
会社紹介
2005年、現CTOのニア・ズーク氏が米国で創業。ポート番号やプロトコルの種類によって通信の許可/ブロックを制御していた従来のファイアウォールに対し、トラフィックの中身まで識別し、正しいアプリケーションやユーザーの通信のみを許可する「次世代ファイアウォール」を提供している。2015年度(15年7月期)のグローバル売上高は9億2810万ドル。