ITコンサルティングファームとして業界に名を馳せてきたフューチャーアーキテクト。直近では、3期連続で過去最高の連結売上・連結利益をたたき出し、のりに乗っている印象だ。そんな同社は今年4月、創業27年目にして持ち株会社制に移行し、旧フューチャーアーキテクトが持株会社のフューチャーに商号を変更、そして新たに事業会社のフューチャーアーキテクトを新設した。その狙いとは何なのか。フューチャーアーキテクトの社長CEOを務める東裕二氏に話を聞いた。
バランスよくビジネスを伸ばす
──持株会社制へ移行された背景と狙いについて、お聞かせいただけますか。 まず大枠の背景をお話ししますが、フューチャーアーキテクトは今年創業27年目を迎え、グループ全体で従業員約1600人、単体では約800人というサイズにまで大きくなりました。コアビジネスである「ITコンサルティング」と、子会社であるメディアの東京カレンダーやスポーツ・キャンプ用品などを取り扱うECサイトを運営するeSPORTS、食品スーパーの魚栄商店といった、われわれが直接ITを使ってオリジナルのサービスを提供する「リアルビジネス」という二つのビジネスモデルで成長してきました。
今後もITコンサルティングとリアルビジネスを拡大していく。そう考えたとき、一つのマネジメントのもとで、それぞれのビジネスを伸ばしていくのはなかなか大変だと考えたんです。それぞれでビジネスモデルや価値観が異なっているので、一つのマネジメントチームに置いてしまうと、互いに矛盾を起こしたり、ある分野に比重を置きすぎたりしてしまうかもしれない。
──バランスよくグループ企業それぞれのビジネスを伸ばしていくうえで、支障が出てしまう可能性があると考えた、ということですか。 そういうことを考えざるを得ないところまできた、というのが実態ですね。ですから、以前の「フューチャーアーキテクト」を「フューチャー」に商号を変え、シンプルでスピード感があり機動力を備えた持株会社として置きなおしました。そして、その下に改めてITコンサルティングに特化したフューチャーアーキテクトをつくり、その横には、東京カレンダーやeSPORTSといったリアルビジネスを手がける企業を配置しています。グループには、これら新しい業態の企業だけでなく、システムを運用保守するフューチャーインスペースのような、ITコンサルティングのなかでもさらに特化したモデルをもつ会社もあります。こうした業種や役割に特化し、機動性に富んだ企業群をつくることで、現代のスピード感に合い、今後のグローバリズムにも対抗していくことができると考えています。

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