SRAホールディングスグループは、オープンソース・ソフト(OSS)活用の先駆的SIer集団として有名であり、グループの中核事業会社SRAは高い営業利益率を叩き出している。直近ではハイパフォーマンスコンピューティングや組み込みソフトで培った制御技術をテコに、クルマ用OS(ベーシックソフト)のAUTOSAR開発に参画するなど、競争力ある技術を前面に押し出したビジネスを展開中だ。今年6月にSRAの社長に就任した石曾根信氏は、「向こう10年、20年と成長できる礎、ビジネスモデルをつくる」と意欲を示している。
知財をテコに利益率を高める
──SRAホールディングスグループの中核事業会社SRAのトップに、この6月に就任されましたが、まずは抱負からお話しいただけますか。 6月下旬でしたので、まだ実質2か月弱しか経っていませんが、この間、SIerにとっての「技術」とはどうしたものであるべきかを、社員とともに改めて考えてみようと、機会あるごとに語りかけてきたように思います。
先代の鹿島さん(鹿島亨SRAホールディングス社長)もそうでしたが、SRAの歴代の社長は、これまで10年、20年と成長できる礎、ビジネスモデルをつくってきました。私もその役割を担うにあたって、じゃあ、どこを重点的に見直すべきかを考えたとき、やはり「技術」のあり方にヒントがあるように思えたからです。
──「技術」のあり方とはどういう意味ですか。 テクノロジー会社である以上、「技術」をどう活用するかは、ビジネスモデルの構築で避けては通れない課題です。世界最先端の技術を追求するというニュアンスではなく、どちらかといえば、SIerである当社のこれからの成長にとって重要な「技術」はどうあるべきかにこだわって、考えていくという意味です。
──SRA単体の直近(2016年3月期)の営業利益率は過去最高の12.2%に達しています。ソフトウェア開発をメインとする会社で、これだけの高い利益率を叩き出すのは容易ではありません。 2000年頃から知財(IP)をテコに利益率を高められるようビジネスモデルの変革に取り組んできましたので、その効果が大きい。ここでいう知財とは、ただ単に著作権や特許を指すのではなく、他社にはないすぐれた技術やノウハウといった比較的広い範囲を含んだものです。パッケージソフトベンダーになろうというわけではなく、当社だけがもつ広い意味での知財ビジネスを前面に押し出すことで、高収益モデルをつくりだしてきました。受託のソフト開発だけでは、とても平均以上の利益率を出すことはできませんからね。

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