紙の需要増はペーパーレス化を上回る
──「課題解決」の具体例を教えてください。 近年注力している金融などはわれわれにとって比較的新しい業界ですが、今でも紙を基盤とした業務が大量に残っています。本当は電子化して効率を上げたいのに、例えば融資1件に対して、申し込み、審査などのプロセスが全部紙で回っていく。このような一連の流れをペーパーレスにしていくソリューションを大手金融機関に採用いただきましたが、こういう仕事が取れたのも、われわれは業務における紙のハンドリングを熟知しているからなんです。この領域では、複写機・プリンタメーカーとの競争はしていないと思っています。むしろ競合は大手電機メーカーさんのSI事業かもしれませんね。
──結果として、その提案のなかでMFPは富士ゼロックス製品が選ばれていくということですか。 業務を遂行するにあたってペーパーをどんどん増やしたいというお客様はいません。だから、お客様にいきなりMFPをおすすめしたら「おたくの営業はもういいよ」と言われてしまいます。ただポイントは、一つひとつの業務はペーパーレス化を進めるのですが、お客様が取り扱う情報の量は格段に増えているわけです。PCだけじゃなくて、モバイルも含めこれだけの端末がオフィスに入り込んできて、生み出される情報量は、幾何級数的に増大している。すると、その情報のなかで紙に落とされるものも、やっぱりまだたくさんあるんです。
──紙に出力される比率は下がっても、全体の情報量がそれを上回る勢いで増えている。 電子化しましょう、業務を改善しましょう、生産性を上げましょう、という提案をしているにもかかわらず、実はわれわれのプリントボリュームはずっと上がっているんです。減っていないんですよ。「電子化によって紙が減ってプリンタメーカーは……」みたいな記事をよくみますが、少なくとも当社についていえば、まったくのウソですよ(笑)。当社製品ではプリントボリュームだけでなく、国内で設置台数も増えています。ただ、プリントの単価が下がっているのは事実です。また、チラシのようにまったく同じ情報を何万人に配るといった用途は、今は何も紙でやる必要はなくネットでいいわけですから、そういう需要は減っていると思います。
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