日商エレクトロニクスは、ネットワークとコンピューティングを二つの軸として、新しい商材や技術の獲得に力を入れる。直近ではハイパーコンバージドインフラ製品がヒット商材となり、コンピューティング領域のビジネスが一段と活性化している。岡村昌一社長は、「顧客のビジネスの成功にできる限りコミットする“B4B”」のコンセプトを打ち出し、人材育成や外部との協業を推進。商社系SIerならではの“目利き”の力量を生かしながらビジネスを伸ばす方針だ。
目利きができる人材を育成する
──ネットワーク領域に強い商社系SIerとのイメージが強かったのですが、近年はコンピューティング領域でも力強くビジネスを伸ばしておられると聞いています。
確かに当社はネットワーク機器大手のジュニパーネットワークスと合弁子会社を設立するなど、ネットワークに強いイメージがあるのかもしれませんね。実際はネットワークとコンピューティングを二つの軸に位置づけ、ユーザー企業に必要なITサービスを総合的に提供できるよう努めています。
SIerとユーザー企業間の取引を「B2B」とするならば、当社ではこれを「B4B(Business for Business)」と呼んでいます。すべては顧客のビジネスの成功のためにという意味で、できる限りビジネスの成果にコミットしていく姿勢を表しているのです。このためにはネットワークとコンピューティングの両方に精通するだけでなく、商社系SIerならではの“目利き”の力量も存分に生かしています。
──商社系SIerの“目利き”とはどのようなものでしょうか。
最近ですと、ハイパーコンバージドインフラのニュータニックスが“目利き”のいい例かもしれません。当社がニュータニックス製品に着目したのは今から4~5年前、まだ日本法人がないときでした。米国から幹部がきて日本の顧客回りをしても、いまいち反応が薄く、営業が終わった後の焼き鳥店で、「なかなかハイパーコンバージドのコンセプトが理解してもらえないね~」と愚痴をこぼしたほどです。
その後は、皆さんのご存じの通り、あれよあれよという間にハイパーコンバージドインフラが市場に受け入れられ、ニュータニックスは急成長しました。当社は、ニュータニックスの国内最上位パートナー「エリートパートナー」であることから、コンピューティングの領域を一段と強化することにつながっています。誰よりも早く、次の成長につながるような商材をみつけ出す“目利き”は当社の強みの一つです。
──「B4B」についてはどうでしょう。
何の基準をもって“目利き”するのかの答えが「B4B」だと考えています。海外の新しい商材をただ国内にもってきて終わり――ではなく、それが顧客のビジネスの成果につながるかどうかが重要なんです。「そんなのあたりまえじゃないか」と言われそうですが、この視点をしっかりもちつつ、国内外で目利きができる人材を揃えるのは、実は容易ではありません。そういう意味での人材育成には一段と力を入れていく方針です。
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