「デジタル変革」が企業向けIT市場のトレンドとなった現在、データ活用の重要性は業務部門の現場レベルまで浸透しつつある。オーストラリア発のBIツールベンダーであるYellowfinは、そうした市場の変化を追い風に、新世代のエンタープライズ向けBIを志向し、いまやグローバル市場でも有数のプレイヤーに成長した。創業者であるグレン・ラビーCEOの来日に合わせ、同社が見据えるBI市場の未来について聞いた。
BI市場の変化をリードする存在に
──日本のYellowfinのイベントで何度かラビーさんをお見かけしているのですが、日本には何回くらいいらしていますか。
30回以上は来ていますね。
──いらっしゃる度に、BIに対する日本のユーザーのニーズは変化しているのでしょうか。
もともと日本は、グローバルのBI市場でみても非常に成熟している市場だと思います。少なくとも、アジア太平洋地域ではナンバーワンの市場ですね。直近で変わってきていると感じるのは、ビジュアライゼーションを重視するようになっているということです。以前は、もっと日本固有の、表形式など堅い感じのレポートをつくるためにBIを使うというイメージでしたが、どういうふうにデータをわかりやすく見せるかにポイントを置くようになってきていると感じます。もっとも、これは日本だけで起きていることではなくて、世界的なトレンドと軌を一にしているとはいえるでしょう。グラフィカルで使いやすいダッシュボードとすぐれたデータビジュアライゼーション機能を一緒に提供できるYellowfinは、そうした市場の変化をリードしている存在だと思っていますし、エンタープライズ向けのBIプラットフォームとしては一歩抜きんでていると自負しています。
──一歩抜きんでているというのは、機能面のことでしょうか、それとも市場シェアということでしょうか。
機能面もそうですが、いくつかの市場セグメントでは、シェアも十分に獲れていると思います。とくに、サードパーティのソリューションにYellowfinを組み込んでOEM的に提供してもらうという市場では、グローバルでトップクラスのシェアをもっています。
──BIの市場には、たくさんの競合ベンダーがいますよね。マイクロソフト、オラクル、SAP、IBMなどの大手総合ベンダーは自分たちのポートフォリオにBIツールを組み込んでいますし、新興BI専業ベンダーも多数あります。彼らとYellowfinの決定的な差異化ポイントというのは何でしょうか。
メガベンダーが提供しているBIツールは、古くからある製品をアップデートしてきたもので、非常に複雑ですし、扱うのが難しいといえるでしょう。それに対してYellowfinは、新しいモダンなプラットフォームを提供していて、データ分析の専門家ではない一般のビジネスユーザーでも、簡単に使いこなすことができます。これが、彼らと競合してもYellowfinが実際に勝っている理由です。
また、おっしゃるとおり市場には100社を超える新興BIベンダーもいますが、彼らは総じてデスクトップにインストールして使う「デスクトップBI」のかたちで限定的な機能しか提供していないし、ガバナンス、セキュリティを含めてエンタープライズ向けのシステムに求められる要件を満たしていない、つまり「エンタープライズBI」とはいえない製品しか提供できていないことが多い。そこがYellowfinとは違うところです。
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