協会の組織自体も改革へ
──独立士業として社会的に影響力のある資格としていくにあたり、ITコーディネータ協会はどのように変わっていくべきでしょうか。
まずは、ITコーディネータのための会員組織にしていきます。ITコーディネータ協会はNPO法人です。NPO法人は本来、会員が社員として、協力し合って、自分たちで存在感を高めていくもの。そうでないと、健全なエネルギーを発揮できません。
──法人会員をなくすということですか。
会員はITコーディネータ個人とし、法人は協賛会員としてご協力いただくということを、理事会で議論しています。根っこからの大改革です。理事会についても、現在は36人のところ、20人くらいにしようと考えています。36人では多すぎて、形式的になりがちで活性化しない。年4回実施している理事会を、「改革推進本部」として、毎月真剣な議論をする場に変えます。
また、これまでご支援いただいた法人の代表の方々には、新たに「評議委員会」の評議員として、高い視点から理事会を監督していただこうと考えています。
──本当に根本からの大改革になるという印象を受けました。6月19日に会長に就任されて間もないのに、改革案に突破力を感じます。
これらの改革案は7月にまとめて、全国のITコーディネータと議論を重ねてきました。最終的には、「第2の創業計画」としてまとめて、実行していきます。
独立士業としてのITコーディネータは実働で500人程度。
この数では士業としての影響力を発揮できない。
<“KEY PERSON”の愛用品>趣味のロードバイク
「最近は、なかなか乗る時間がなくて」と、澁谷裕以氏はロードバイクをみせてくれた。お気に入りのコースは、三鷹市から多摩湖へとつながる多摩湖自転車道。「自宅からの往復でちょうど50km」という健脚の持ち主である。


眼光紙背 ~取材を終えて~
強さなのか、重さなのか。言葉の節々から強い圧力を感じる。会長就任当初にお会いした時とは、ずいぶんと違う印象だった。就任以来取り組んできた「第2の創業計画」に対する自信の表れであろう。
2001年にスタートしたITコーディネータ資格制度。経済産業省の肝いりで始まり、大企業が賛同したという経緯を想像するに、改革に取り組むのは容易ではないはず。これまでで、制度を大きく変える動きを感じることはなかった。失礼ながら、澁谷会長も現状維持で協会を運営するものと思い込んでいた。それは大きな間違いだった。
直近のミッションは、資格保有者数を増やすこと。増えていないのは、資格取得にあたって「お金がかかりすぎるからでは?」と聞いたところ、「ほかの士業と比べると、むしろ安い。学科試験だけの資格とは違う」との答え。確かにそうだ。間抜けな質問をしてしまった。(弐)
プロフィール
澁谷裕以
(しぶや ひろゆき)
1977年早稲田大学政治経済学部卒。東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)に入社。情報システム部門を中心にキャリアを積み重ね、東京海上日動火災保険理事、同社執行役員、東京海上ホールディングス執行役員、同社顧問を歴任。2015年3月に日本取引所グループ顧問に就任。15年6月に日本取引所グループ常務執行役CIOに就任。17年6月19日より現職。
会社紹介
特定非営利活動法人(NPO法人)のITコーディネータ協会は、2001年2月の発足以来、ITコーディネータの育成・認定・普及・啓発などを通じて、企業や団体の経済活動における戦略的な情報化投資の浸透を目的に活動してきている。同協会が認定するITコーディネータは、経済産業省の推進資格であり、経営とITの両面に精通したプロフェッショナルを指す。経営者の立場に立ってITを活用する「IT経営」の実現を支援する。