豊富なノウハウを生かし差異化を
──今年強化する事業、取り組みを教えてください。
これからの時代に向けて、サービス事業をもっと伸ばしていきます。お客様もオンプレミスの自社導入から徐々にクラウド、SaaS、Iaasの要望が高まっています。セキュリティの問題までトータルに考えた時、お客様にサービスの形で提供するケースが増えていくと思っています。このサービス対応についてかなり力を注いでいますが、より加速させていきます。
16年から取り組んでいるIoT、ビッグデータ、AIなどの新しい技術を使った領域はもっと具体的に深めていきます。世の中の動きは速く、何もかも社内だけで行うのは時間がかかってしまいます。お客様の要望に応えられないこともあり得るので、販売パートナー様、ベンダー様との連携を強化していきます。NECネクサソリューションズならではの強みを加え、それを形にして、一番いいものをスピーディにお客様に届けていきます。
──新規領域におけるNECネクサソリューションズの強み、他社ベンダーとの差異化ポイントについて教えてください。
幅広い業種、業務のノウハウがあることです。民間企業だけではなく、自治体、医療関係、国の外郭団体など、国内にあるいろいろな企業、団体のほとんどの領域に対応できます。さらに社内で情報を共有できるように体制を整えましたので、これらの豊富なノウハウを十分に生かすことができます。このほか、データセンターを活用した事業や、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービス、クラウド、SaaS、IaaSなどのサービス事業を長年やってきたノウハウもあります。
お客様がICTを導入しようとする時、ネットワークからサービス、システム構築など各業種すべてのノウハウがあります。ほかのディストリビュータが同じ製品を扱ったとしても、私たちにはこの製品に独自のものをプラスして提供できます。さらに、多様なパターンからお客様にふさわしいものをワンストップで提案できるのが強みです。
17年は、IoT、ビッグデータ、AIといった新しい技術領域で、お客様とともにチャレンジをした年でした。私たちもお客様もどう活用していいかわからないなか、ディスカッションを重ねながら一緒に考えた時期でした。今はかなりノウハウが整理され、具体的な事例もたくさん増えてきました。これまではチャレンジの時でしたが、これからはお客様とともに新しい技術領域を活用して飛躍していきます。
流通業、サービス業などにも広がっています。
今年はますます本格化していくことでしょう。
<“KEY PERSON”の愛用品>お客様からもらった昇進祝い
25年ほど前に課長昇進祝いとして、当時のお客様からもらった万年筆。営業と客先とのつきあい方やお客様が望んでいることなど、まるで先生のように教えてもらった。今も万年筆を使う度、その時の教えを思い出すという。
眼光紙背 ~取材を終えて~
NECグループ全体で積極的に取り組んでいるのがRPA(ロボットによる業務自動化)だ。「この半年で急激に問い合わせが増えた。セミナーを実施すれば即、満席になるほど」と團社長は手ごたえを感じている。
人の手によって判断ルールを実装し、入力作業などを行うRPAは、AIに比べ低コストで、導入しやすいようにみえる。しかし、人が行っている作業をRPAに肩代わりさせるだけでは全体の業務の効率化にならないと團社長は指摘する。「スポット的に導入すると、その業務担当者が外れてしまった時にブラックボックス化しやすい。また、部分的にそれぞれ異なるRPAを導入しては結果として人件費よりも高くなることがある」と注意を促す。
RPAを導入する際は、まずトータルで業務プロセスを分析し、どこを自動化し、どの業務プロセスを変えるかベースをつくった上でドキュメントを残しながら進めることが重要だという。同社はBPOサービスを提供しており、こうした業務分析、解析のノウハウをもっている。蓄積したこうしたノウハウが、新たなビジネスの強い武器となりそうだ。(海)
プロフィール
團 博己
(だん ひろき)
1958年、長崎県生まれ。80年、九州工業大学制御工学科卒業。同年、日本電気(NEC)入社。99年、北陸支社富山支店長。2006年、神奈川支社長。09年、南関東支社長兼神奈川支社長。10年、東海支社長。14年、執行役員。(同、NECネクサソリューションズ社外取締役)。16年4月、NECネクサソリューションズ取締役執行役員常務、同6月、代表取締役執行役員社長に就任。
会社紹介
1974年に日本電気情報サービスとして設立。2001年にNECグループの5社が統合してNECネクサソリューションズに社名変更する。09年、NECのグループ戦略で東名阪地域の中堅企業の顧客を担当する会社に再編。官庁・公共、製造装置、流通サービスなどの幅広い業種・業務対応と、SI、サービス、プラットフォームからネットワークまで、すべて1社でワンストップ対応できる体制と実績が強みだ。