パートナー商流100%を目指す
――どんなユーザーが多いですか。
グローバルでは6割が金融業のお客様です。日本は製造業のお客様が若干多いのが特徴ですが、それでも金融業のお客様が5割くらいで最も多いですね。
――メインフレームなどレガシーなシステムが残っているユーザーも多いと思いますが、それでもインフォマティカのソリューションは使えるのですか。
メインフレームから、少なくともオープン化したいという意向を持つお客様が導入を検討してくれることが多いですね。あとは、当社の主要パートナー経由で、ほぼ全ての地銀向け共同システムに組み込んでPowerCenterを提供していただいています。
――パートナーエコシステムの状況は。
私が入社した当時、パートナーが25社ありましたが、実際に売っていたのは2社だけでした。われわれ自身が率先して動かないとまず市場は成長しないし、パートナーがインフォマティカを担ぎたいと思ってもらえないと考え、11年から14年にかけては直販に集中しました。そこである程度成果が出たので、14年頃からパートナーリクルーティングを始めました。
――どんなパートナーをまずは増やしたのでしょうか。
本国からはチャネルを拡充しろという指示がきましたが、それではうまくいかないと分かっていました。インフォマティカを知らなければ売ることはできませんよね。だから、私はインプリパートナーを先に整備したんです。結局、パートナーにとって一番儲かるのはインプリなんです。そこから入ってもらって、一緒に成功体験を重ねながら、プリセールス、セールスまでビジネスを広げてもらったんです。現在では、セールスからインプリまでやってくださるパートナーを約10社ほど再整備できました。そのほか、テクノロジー特化、インプリ特化のパートナーもいらっしゃいます。また、インプリのリソースが足りない場合などは、パートナー同士で人を融通し合えるようなエコシステムをつくっています。
――今後はパートナービジネスが中心になるのでしょうか。
お客様からのコミットメントだけでは足りなくて、パートナーからのコミットメントもないと、われわれが考えているような成長はできないと思っていますから、パートナーの拡充には継続して積極的に取り組みます。15年から、パートナー商流100%を目指しているんです。いまちょうど5割くらいまできました。今期(19年1月期)の第1四半期は8割~9割はパートナー商流になってきています。
私は当初、エンタープライズソフトウェアはパートナー経由では売れないと考えていたんです。SAPを見ても、実際のパートナーの役割はフルフィルメントだけです。でも、インフォマティカに来てパートナーとしっかり向き合い、われわれのコミットメントを示すと、彼らもこっちを向いてくれることを実感しました。直販だけでは実現できないレベルでビジネスをスケールさせられる手応えがあります。インプリから始めるという「急がば回れ作戦」が不可能を可能にしたと思っています。
Favorite Goods
IBMからの移籍時はカルティエのボールペン、SAPジャパンからの移籍時はパーカーのカフスボタンをそれぞれ当時の同僚達から贈られた。勝負の商談には必ず身につけ、携行する。「背中を押してくれる気がする」大事なアイテムだ。
眼光紙背 ~取材を終えて~
日本のIT業界に「吉田兄弟」あり
兄はノベルやSAS Institute Japanの社長を歴任し、現在は日本ヒューレット・パッカード(HPE)社長の吉田仁志氏。兄弟で外資系ITベンダーのトップを務める。インフォマティカの日本法人社長を引き受ける決断を後押ししたのは、兄の助言だったという。
吉田氏は、IBM、SAPジャパンとグローバル市場をけん引する大手ベンダーで営業畑を歩み、結果を出してきた。やがて社内のリーダーの一人となり、仕事にやりがいも手応えも感じていた。そんな中で舞い込んだETLベンダーの日本法人社長への就任の打診。当時すでに複数の外資系ベンダー日本法人でトップを務めた経験があった兄の仁志氏は、「お前は経営に近い立場で仕事をしていると思っているかもしれないが、事業部門や業務部門のトップと社長では責任の重さも権限の大きさも全く違う。次のステップに進むためには、やってみてもいいんじゃないか」とアドバイスしてくれたという。
インフォマティカについて調べると、データ活用の基盤を提供するベンダーとして米国で業績が大きく伸びていた。「これはよさそうなベンダーだな」と兄弟の見解は一致。そうして現職に就いてから9年。在任期間の長さは、長期にわたって本国からの要請に応えて結果を出し続けてきたことの証だ。
プロフィール
吉田浩生
(よしだ ひろき)
1967年7月生まれ。89年、上智大学外国語学部比較文化学科卒。90年4月に日本IBMに入社。営業畑でキャリアを積み、大手通信企業グループの大型案件を中心に手掛ける。2004年、SAPジャパンに移籍。SMB事業本部営業本部長代理、ハイテク産業本部グローバルアカウント営業部長、ストラテジックアカウント営業部バイスプレジデント、プレミアカスタマー担当バイスプレジデント、プロセス・製造産業営業部本部長などを歴任。10年10月から現職。
会社紹介
ETL、統合マスター管理(MDM)製品の世界的なトップベンダーであるインフォマティカの日本法人。2004年設立。