NECグループにおいて、東名阪の中堅企業をターゲットにSI事業を展開する役割を担うNECネクサソリューションズ。今年4月、執行役員常務から昇格した木下孝彦氏が社長に就任した。新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、事業環境が大きく変化しても安定した収益を上げやすいストック型ビジネスの重要性を改めて認識したという。強みを発揮できる新たな成長領域を確立するとともに、ビジネスモデルのサービス化を推進していく。
成長領域の創出を目指す
――今年4月、社長に就任されました。コロナの渦中でしたが、まず取り組んだことは何でしたか。
危機的な状況の中でわれわれ自身、手探りな面はありましたが、その中でもやはりトップの考え方というものは発信しないといけないと思い、しっかり社内でコミュニケーションをとっていこう、お客様のほうを向き、お困りごとについて確認してほしいということを意識的に伝えてきました。
――NECネクサソリューションズには社長就任の1年前から在籍されていますが、どのような会社だと評価されていますか。
この会社には素晴らしい財産があると実感しています。当社のビジネスの中心である中堅のお客様という財産があるだけでなく、営業活動やソリューションに関わるさまざまなデータがしっかり蓄積されていて、そこには非常に驚きました。こうした財産を活用しない手はないと考えています。
――就任後、新たに取り組まれていることなどはありますか。
成長領域の創出を目指す「Growth会議」という会議を今年度から本格的に開始しました。お客様のニーズなどについてブレストをしながらディスカッションしています。会議には営業だけではなくSEやスタッフのメンバーも入れる仕組みになっていて、さまざまな観点から意見やアドバイスを交わしながらソリューションをつくり、新しい領域を開拓していこうとしています。実際に、複数のアイデアが実証に近い形で動き始めているところです。
ストックビジネスは強い
――このコロナ禍で御社のビジネスにはどのような影響がありましたか。
プロジェクトが計画より1、2カ月ずれるという案件がかなり増えました。ビジネスへのインパクトという意味でも、受注活動が停滞したのは事実です。基幹系を中心にビジネスを展開していますが、お客様の基幹システムの検討は4月から6月にかけて停滞していました。7月以降はかなり盛り返してきていますけれども、お客様が大型投資にかなり慎重になってきていると感じています。
一方で、中堅企業のお客様のITリテラシーがこの間に相当高まったと思っています。そうした状況がベースとしてある中で、今後はITをビジネスや企業の変革にどう活用していくかというデジタルトランスフォーメーションの動きが加速していくのではないかという気配を感じています。
実際に、プロスペクトは従来の1.3~1.4倍ぐらいまで拡大してきているという状況にあり、お客様の検討はかなり進んできているのではないかと思います。最後の決定までには多少時間がかかっているというところがありますが、コロナ禍を機により幅広い領域でIT投資の検討が始まっていることを実感しています。
――さまざまな業種の顧客がいらっしゃると思いますが、業種別でみたときの市場の動向などに特徴はありますか。
民需の中でも製造業のお客様はリモート環境への移行が早かったと認識しています。工場への立ち入りを制限しているところもありましたので、そうするとリモートで対応するしかありません。事業継続のための喫緊の課題として、お客様自身が危機感を持って動いておられました。
ダメージを受けたという意味では、当社の得意領域であるホテルのお客様は、非常に大きなダメージを受けておられます。
ただ、言いづらいことではあるのですが、当社としてはホテル向けのビジネスは非常に堅調なんです。というのも、この領域ではサービス化が進んでいて、定期収入がずっと入ってきています。お客様からは旅行客の宿泊がないため利用料を少し下げてもらえないかといったご相談もいただいており、そうしたご相談についてはもちろん対応させていただいていますが、この状況下でもしっかりとした定期収入をいただいているのは大きなポイントです。事業環境が急激かつ大きく変化してもストック型のビジネスは非常に強いということを、今回のコロナ禍で改めて感じました。
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