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ミッションクリティカルのクラウド化が日本を変える

日本オラクル 取締役執行役社長

三澤智光

取材・文/藤岡 堯、日高 彰 撮影/大星直輝

2022/10/17 09:00

三澤智光

週刊BCN 2022年10月17日vol.1942掲載

 日本オラクルは「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」によるミッションクリティカルシステムのクラウド化への注力姿勢を鮮明にしている。ただ、日本社会には「ミッションクリティカルのクラウド化は困難」という常識が今なお強く残る。三澤智光社長は、事例を積み重ね、クラウドの真の価値を伝える構えだ。クラウド化が広がった先に日本の企業、そしてIT業界の構造はどう変わっていくのか。
(取材・文/藤岡 堯、日高 彰  写真/大星直輝)

「狂想曲」は脱した

──社長に就任してから2年を迎えます。

 業績はそれなりに順調に推移していますが、ビジネスのチャレンジという点ではまだまだ途中です。クラウドの事業比率を高めることがわれわれの目標です。私が入社したときのクラウド比率と現在の比率は、劇的に変わっているものの、市場にはまだ大きなオポチュニティがあります。

 お客様も学ばれて、「クラウド狂想曲」というような、なんでもかんでもクラウドという狂信的な動きは脱したと感じています。システムは適材適所であり、クラウド化で一概にコストが下がるということでは全くありません。「狂想曲」が一段落して「本当にどこで使うのか」を考えられる雰囲気になってきました。

 その中の選択肢としてOracle Cloudが入り、AWS(Amazon Web Services)や(Microsoft)Azureと何が違うのか、どういう部分で使えば一番いいのか、という点を明確に伝えられるようになってきました。

──7月の戦略説明会では「脱オラクルの行き先はオラクルだった」と話していました。価値が再認識されている背景には何があると考えますか。

 日本の本当に大きな規模のシステムのおよそ8割にオラクルのテクノロジーが使われています。トラブルが起こると日本の社会が止まる、それぐらい重要な仕組みを、果たして、ほかのテクノロジーで代替できるのか。落ち着いて考えると「それはない」と(顧客が)気づいたのでしょう。

 汎用クラウドは(軽貨物運送の)「赤帽」なのです。軽トラックで小さな荷物を配達することは得意ですが、大きなトラックでどんと物を運ぶのは苦手にしています。「狂想曲」のころは、これを汎用クラウドでやろうとして失敗したプロジェクトがあり、結果、「やはりクラウドはミッションクリティカルシステムで使えない」ことが、日本の常識となりました。でも、レイトカマーのオラクルは、両方できるクラウドを提供しており、これが最大の差別化ポイントです。高速道路で大型トラックを動かすようなワークロードにも利用できるクラウドがあるということが、やっと認知され始めたのかなと思います。
この記事の続き >>
  • 本当の意味で、基幹システムのクラウド化は始まったばかり パートナーにはチャンス
  • ミッションクリティカルなシステムをモダナイズ 正しいことをやり続ける

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外部リンク

日本オラクル=https://www.oracle.com/jp/