ニュース

MS、WinHEC開催 電話・通信から家電分野にまで進出

2002/05/06 16:18

週刊BCN 2002年05月06日vol.939掲載

 米マイクロソフトの「ウィンドウズ・ハードウェア・エンジニアリング・カンファレンス(WinHEC)」がこのほど、米ワシントン州シアトルで開催された。ウィンドウズOSをブルートゥースに対応させることや、パソコンを家電の指令塔にする計画などの詳細が発表された。電話・通信、音楽、家電など、これまで同社の影響をあまり受けなかった業界にまで手を広げていこうという壮大な計画なだけに、幅広い注目を集めている。

 同社プラットフォームグループのジム・アルチン同グループ副社長がオープニング講演を行い、とくに家庭内でのパソコンの役割強化とその可能性について語った。

 講演のなかで同副社長は、同社が開発中のタッチパネル式携帯パソコンの「タブレットPC」が今秋までに、パソコンからモニタ部分を取り外して操作できる「ミラ(開発コード名)」技術搭載のパソコンが年内に、それぞれ発売されるとの見通しを明らかにした。

 どちらもモニタ部分だけを持ち運べる携帯パソコンだが、タブレットPCにはCPUが搭載されており、ミラ技術ではCPUはパソコン本体に搭載されモニタとは無線でデータ転送する。ミラ搭載パソコンは、富士通、NEC、東芝、松下電器産業、ソーテックなどから発売される予定。

 またミラ搭載のパソコン発売と同時期に「フリースタイル」と呼ばれるユーザーインターフェイス技術を搭載したパソコンが、ヒューレット・パッカード、NEC、サムソンから発売になる予定だ。フリースタイルは「ビデオ」や「音楽」と大きく書かれたボタンを表示し、リモコン操作でパソコンや音響機器に記録されているビデオや音楽コンテンツをジュークボックスのように自由に再生できる。また次世代ウィンドウズメディアプレーヤー(開発コード名「コロナ」)は年末までに完成する見通し。

 マイクロソフトはウィンドウズパソコンをホームサーバーにする考えで、マッキントッシュで同様の構想をもつアップルコンピュータや、ホームサーバーを開発中の日本の家電大手と競合することになる。

 一方、日本レコード協会がコピーコントロールCDを推奨するなど、音楽業界は基本的に音楽をパソコンに記録させることには反対の立場を取っている。マイクロソフトの構想がどの程度実現するか注目されるところだ。

 またパソコンの画面やアドレス帳などのデータを使って、ダイヤルディスプレイなどの電話やテレビ電話の機能の拡充も計画している。機能電話会社にとっては頭の痛いところだ。

 同副社長はまた、無線LANカードの新規格「ソフトWi-Fi(ワイファイ)」を開発していることも明らかにした。同カードを差し込むだけでパソコンが無線LANの基地局になる。

 一方、同社ビル・ゲイツ会長は基調講演のなかで、ブルートゥース技術を支援していくと語った。無線LANに押され気味の同技術だが、同社の支援を得たことで普及はほぼ確実になったといえそうだ。(湯川鶴章)
  • 1