NTT-ME、NECが先べんつける

 ホームサーバー分野に具体的な動きが出てきた。NTT-MEは、6月1日からホームサーバー機能付きルータ「リビングゲートアイ」(価格4万円台後半)を発売し、NECは外出先から自宅のパソコンに接続できる「ドット・ゲートサービス」をこの夏モデルから始めた。本格的なホームサーバーという商材ではないが、常時起動型の“サーバー的な機能”を家庭に導入する動きがいよいよ表面化してきた。

●外出先から家庭にアクセス

 NTT-MEは、ルータの切り口でホームサーバーへの道筋をつけ、NECはパソコン本体にサーバー機能を搭載した。外出先から家庭内の機器に接続するには、インターネット上の住所に当たる固定IPアドレスが必要である。だが、大多数の家庭は“住所不定”に相当する動的IPアドレスであるため、これまでは外部からの接続は難しかった。

 今回は、NTT-MEが「リンクサーバー」、NECが「仲介サーバー」の名称で、家庭内のルータやパソコンに橋渡しする仲介サーバーを無料で開設。利用者はこの仲介サーバーの道案内を経ることで、動的IPアドレスしかもっていない家庭内の機器に、外出先から接続できるようになった。まずは、この点が技術的な突破口となった。

 現状のホームサーバーの主な機能は、①記憶装置がある、②外出先から接続できる、③遠隔地から制御できるカメラやウェブサーバー、共有フォルダ、電子メールなど実用に即した付加機能がある――など。NTT-MEの「リビングゲートアイ」は、これに加えて、ルータ本来のルーティングや無線LAN機能を備えている。

 このように、技術的な突破口は見つかったものの、実際の需要に関しては各社の反応が分かれる。

 プラネックスコミュニケーションズの久保田克昭社長は、「本当に需要があるのかどうか、まずは市場動向を観察する。ルータ型のホームサーバー機能は技術的にそれほど難しいものではない。需要が読めれば、すぐにでも製品投入に踏み切る」と話す。

 ヤマハAV・IT事業本部営業本部の関口博本部長は、「ルータ型のホームサーバーを単独製品で出すかどうかは未定。だが、当社は通信カラオケなどAV型のサーバー製品の開発実績がある。そのため、こうしたAV型サーバーの切り口で他社にない製品を開発する」と、単なる追随はしないと断言する。

●本格的な製品はこれから

 いずれにしても、まずはNTT-MEのルータ型ホームサーバーと、NECのパソコン型ホームサーバーの2種類が市場に登場した。

 両社の最大の違いは、消費電力や騒音が気になるパソコンか、省電力・無音設計のルータかという点であろう。

 ルータ型の記憶装置はコンパクトフラッシュ(CF)であり、パソコンに比べて容量は小さいものの、騒音が一切ない。家庭での利用では大きな優位性となる。

 だが、「パソコンが常時起動するものとなれば、サーバー機能はパソコンが担うことになる」(NECカスタマックスマーケティング本部商品企画部・越坂悦大マネージャー)と、パソコン型のホームサーバーの将来性に自信を示す。ソニーのミュージックサーバーも同様のコンセプトに立脚している。

 昨年、ADSLが普及し始めた頃からホームサーバーへの模索が一斉に始まった。

 だが、どのタイプのホームサーバーが家庭に受け入れられるかは、もうしばらく成り行きを観察する必要がありそうだ。

(安藤章司●取材/文)