4月に「みずほフィナンシャルグループ」が引き起こした情報システム障害に対し、「背景に3行の主導権争い」、「見切り発車でシステムを稼働」といった紋切り型の報道をすることはたやすい。だが、今回のシステム障害の真の原因に迫りきれず、結局、将来に備えた教訓を引き出せないまま何となく収束すれば、また数年後に同様のトラブルがどこかで生じる可能性がある。そうした事態を避けるため、情報化総合誌「日経コンピュータ」編集部が緊急出版したのが「システム障害はなぜ起きたのか みずほの教訓」(日経BP社、本体価格1400円)だ。

 日経コンピュータ編集部では、第一勧業、富士、日本興業の旧3銀行が経営統合の方針を発表した1999年8月の段階で、今回のシステム統合が内包する“危うさ”を指摘している。そして、システム統合作業の成り行きを追うにつれ、その“危うさ”が表面化していく現実を目の当たりにした。同書では、今回の教訓から引き出せる教訓を提示。経営トップの無関心、システム担当者の不在といった諸問題を整理し、解決策の一端を示している。解決策について同書では「動かないコンピュータ撲滅のための十ヵ条」を掲げるが、面白いことにこの十ヵ条は、日経コンピュータ90年10月8日号に掲載されていた内容と全く同一。以後、96年9月16日号、01年4月23日号にも再掲載されている。ITは日進月歩の勢いで進化しているが、システム障害や開発プロジェクトが難航する根本原因は昔から変わっていないことに、改めて気付かされる。