1993年に稼動した米国セブンイレブンのRIS(Retail Information System)は、米国コンビニ市場の仕入業態を根底から覆す画期的な試みだった。いまだにこのPOS(Point Of Sales)システムへの対応を拒み続けている大手食品メーカーと、システムのウェブサービス化を進めるセブンイレブンとの関係が、興味深い状況を導き出している。

 米国コンビニエンスストア市場の先頭を走り続ける米国セブンイレブンが、日本のイトーヨーカ堂率いる日系企業であることは、米国の関係者に広く知られている。

 元々は米国企業であったセブンイレブンに資本参加したイトーヨーカ堂が93年に稼動させたRISと呼ばれるPOSシステムの先進性は、商品別日時毎の個別売上を集計できる最新鋭の販売管理システムとして、当時から全米の小売関係者にあまねく知れ渡ることとなった。

 全米5300店舗のネットワークを縦横無尽に活用するRISのもつ決定的な競争力が、米国セブンイレブンを年間100億ドルを売り上げる巨大企業へと押し上げるための大きな原動力となったことは、衆目の一致するところだ。

 米国セブンイレブンはRISを導入することで、商品納入業者が小売店舗の陳列棚の在庫を管理するという米国コンビニエンスストア市場の商習慣を否定し、小売店舗の管理者が自前で個別の商品在庫を管理するという新しい方法論への道を切り開いた。

 また、木目の細かい在庫管理が可能になることで、結果的に木目の細かい発注管理が可能になり、ひいては在庫回転率の向上による収益性の向上により、競合企業に対する強力な優位性を獲得するに至った。

 しかし、RISのシステム稼動から既に10年が経過しているにもかかわらず、仕入金額でみる全体のおよそ3分の1の納入業者が、RISを運用するために必要な、商品発注管理機能の納入業者側からセブンイレブン側への譲渡にいまだ抵抗を続けているようだ。

 これら業者の多くは、コカコーラなどの巨大企業で、売り上げに対する歩合給制のもとで商品納入を行っている多くの組合員からの突き上げを懸念して、セブンイレブン側からの依頼に消極的にならざるを得ないようだ。

 このような状況下で稼動から約10年の歳月が流れたRISだが、その間に、ウェブの登場、ウェブアプリケーションからウェブサービスへの移行へと、IT市場は目まぐるしい進化を遂げた。

 RISをウェブサービス化する事で、いままで頑なに在庫管理の権益譲渡を拒み続けてきた商品納入業者に、その権限を持たせ続けながら、かつ、仕入管理システムへ協調的に参加させる道が開ける。

 システムを強化するために採用したウェブサービスのもつ特質が、永年の懸案であった業 者管理の問題を一気に解決してくれる突破口となったようである。(大平 光)