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日本ボルチモアテクノロジーズ 文書管理システムに経営の軸足を移す セキュリティ技術に注力

2003/01/06 19:10

週刊BCN 2003年01月06日vol.972掲載

 認証局ソフト開発大手の日本ボルチモアテクノロジーズ(東保孝社長)は、文書管理システムの販売に経営の軸足を移す。同社は、これまで、公開鍵基盤(PKI)用の認証局ソフトパッケージを主力に販売してきたが、「認証局パッケージの販売本数には限界がある」と判断。セキュリティ技術を基盤としたエビデンスト(証拠力)文書の管理システムの開発に力を入れる。昨年10月には、アドビシステムズやセイコーインスツルメンツ(SII)、日本オラクルと技術提携し、今年1月から「シズナスソリューション」の名称で、新しい文書管理システムの出荷を始めた。

 これまで、同社が販売してきた認証局のパッケージソフトの販売形態は、保守料を除き、原則として売り切りだった。

 だが、今年1月から出荷を始めた電子文書管理基盤システム「シグナスソリューション」では、トランザクション(利用回数)をもとに課金する方式を採用した。

 これにより認証局ソフトの販売よりも、安定した収益が見込めるようになる。

 同社によれば、国内の認証局は現在200か所前後で、今後、劇的に増える見通しは薄いという。誰もが手軽に運用できるものではないことに加え、認証局そのものに対する需要に限界があることが原因だ。

 これを受けて同社では、認証局だけに依存するのではなく、エビデンスト文書(証拠力のある文書)の管理・保管するシステムの販売に力を入れる。

 北村裕司・取締役企画戦略本部長は、「認証局は、官公庁ならば県庁か政令市クラス、民間ならばサプライチェーンのトップに位置するリーダー的な存在しか運用する必要がないのが現状。今後もそれほど、この市場が大きくなるわけではない。ところが、エビデンスト文書を管理・保管する必要性は、官公庁や企業の規模の大小を問わず、普遍的に需要が存在する。この市場を開拓することで、継続的な成長を図る」と話す。

 認証局の認証期間は比較的短いのに対し、重要な文書については3-10年の長期間に保管する必要がある。この電子的な文書の真正性を立証し、エビデンスト文書として維持・管理する仕組みを販売するのが、今回販売する「シグナスソリューション」である。

 PDF形式の電子文書で実績のあるアドビシステムズと、時刻認証サービスのSII、電子文書の保存管理技術をもつ日本オラクルが、シグナスソリューションを支える。

 これらのシステムを支えるソフトウェアについては、「売り切り」ではなく、トランザクションをもとに課金する。

 重要文書の証拠力を長期的に維持する需要が多くなればなるほど、継続的な収益を得られる仕組みにする。

 北村取締役は、「トランザクション課金にしても、総合的な維持コストが、必ずしも高くなるわけではない。利用頻度の少ない利用者にとっては割安になる一方、利用頻度が多い利用者は、個別商談に応じる」ことで、料金の適正化を図る。

 同社は、昨年4月に、専門商社のシィージィーアイ(東保孝社長)の子会社になった。東社長は、両社の社長を兼任している。
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