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NEC 小型BBルータでシェア倍増計画

2003/03/24 19:14

週刊BCN 2003年03月24日vol.983掲載

 NEC(NECネットワークス)は、ルータ事業の中で好調なビジネス向け小型ブロードバンドアクセスルータ製品に力を入れる。企業ネットワークのブロードバンド化が急速に進んでおり、市場が拡大しているなか、直販による大型案件獲得のほか、ネットワークとアプリケーションを絡めたソリューション販売に取り組み、販売パートナーを経由した売り上げを増やす。2002年度(03年3月期)で10%強の市場シェアを、03年度(04年3月期)は2倍の20%に引き上げる計画だ。

VoIPソリューションで差別化

 通信キャリア向けからビジネス向けまで、幅広いルータ製品をもつNECのルータ事業の中で、ブロードバンドアクセスルータの販売が急増している。

 ブロードバンドアクセスルータは、インターネット経由で社内ネットワークに接続する目的で、企業の営業所や店舗などに設置する10万円前後の小型ルータ。市場規模は02年度で10万台程度と見られるが、NECの「IXルータ」は02年度下期、同上期に比べて販売数量を4倍強に増やしている。

 筒井孝司・ビジネスネットワーク事業部事業部長代理は、「企業ネットワークでは、VPN(仮想私設網)技術を利用したブロードバンド化が急速に進んでおり、VPN対応製品の販売が伸びている」と話す。

 同社は01年夏にVPN対応ブロードバンドアクセスルータ「IX1000シリーズ」を発売。02年夏には上位機種「IX2000シリーズ」をラインアップに加え、販売を強化した。高いコストパフォーマンスが市場の評価を受けて、「大手の小売業者など、数社から大型発注が相次いだ」(筒井事業部長代理)という。

 市場の好調を背景に、03年度も引き続きブロードバンドアクセスルータで高い伸長を目指す。02年度で10%強の市場シェアを、03年度は20%に倍増させる。同事業部の高橋幾洋第三システム商品開発部部長は、「VPN機能では競合製品が並んできており、販売面でNECらしい市場優位戦略を打ち出していく」と自信を見せる。

 販路や提供形態を広げる施策として、従来はNECネットワークスの直販が主体だったが、NECソリューションズ傘下の販売パートナーを経由した拡販も目指す。特に、VoIP(IPネットワークを利用した音声通信)やインターネット/モバイルVPNなど、ネットワークソリューションに適した性能、QoS(サービス品質)などのIXルータの強みを生かし、ネットワークサーバー「iExpress5800」にも適用する。

 また、ネットワークサービスに絡めた販売を増やす。グループ企業のNECネクサソリューションズでは中堅企業向けにIX1000/2000を利用し、バックボーン回線・保守・機器レンタルをオールインワン化したインターネットVPNサービス「Clovernet(クローバーネット)」を提供中。03年度は1万4000サイトの販売を目指している。

 NECは今年4月にカンパニー制を廃止し、「ソリューションズ」と「ネットワークス」の両カンパニーを統合する。 NECグループの総合力を生かし、ブロードバンドアクセスルータでシェア倍増を達成する考えだ。
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