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ソースネクスト、SSIトリスター ソフトの著作権侵害で争い続く

2003/04/07 19:17

週刊BCN 2003年04月07日vol.985掲載

両社の主張は平行線のまま

 ソースネクスト(松田憲幸社長)とSSIトリスター(小俣信彦社長)の裁判闘争が続いている。

 SSIトリスターの小俣社長は「和解は考えにくい。白黒つくまで争う」と徹底抗戦の構えを見せる。一方、ソースネクストは「SSIトリスターの著作権侵害を認めれば、ソフト業界全般にとって不利益だ」と応じる。両社の争点は以下の通り。

 (1)ソースネクストは、携帯電話向けソフト「携快電話」の初版から第6版(=携快電話6)まで、ソフト会社のアメリカンメガトレンド(丸山宏之社長)に開発を発注する。しかし、2002年1月から4月にかけて機能や価格、納期などで商談が折り合わず、携快電話の第6版を最後にアメリカンメガトレンドへの発注をやめる。

 (2)アメリカンメガトレンドは、ソースネクストの依頼で開発した携快電話6のエンジン(中核)部分をSSIトリスターに売り込む。SSIトリスターは同エンジンを使い「携帯万能8」を製品化して、02年7月27日に販売を始める。

 (3)ソースネクストは、「携帯万能8の主要部分の著作権はソースネクストにある」と主張し、SSIトリスターを著作権侵害で02年8月10日に告訴。

 今回の争点は、アメリカンメガトレンドが開発したソースネクストの「携快電話6」の著作権が誰に帰属するのかにある。

 アメリカンメガトレンドは、同一エンジンのソフトを複数のパソコンメーカーにそれぞれ最適化して納入してきた。このビジネスの延長線上で、ソースネクスト向けのソフトを開発した。

 ソースネクストは、「製品そのものとエンジン部分は切り離して考えるべきでない。SSIトリスターは、当社の『携快電話6』の後継製品かのような印象を消費者に与えつつ、当社の著作権を侵害して『携帯万能8』を製品化した」と話す。これまでSSIトリスターは、携帯関連ソフトを製品化しておらず、いきなり「第8版」との印象を与える名前で製品化した。

 SSIトリスターは、「開発元のアメリカンメガトレンドが関連する著作権を所有していることから、ソースネクストの著作権は侵害していない」と話す。

 開発元のアメリカンメガトレンドの藤松篤司取締役は、「携快電話6の著作権はもともと当社に属する。ソースネクストに対しては“使用許諾”を与えているだけ。従って、当社が開発したエンジンを、たとえソースネクストの競合他社に販売しようと、ソースネクストは何もいえない。訴訟を起こすなら、当社の顧客であるSSIトリスターに対してではなく、当社を相手にすべき」と話す。

 総額約5億円の損害賠償請求に発展した訴訟だが、ソフト業界にとって生命線である著作権が絡んでいるだけに、裁判所の判決は重要な意味をもつ。判決までには、あと半年程度かかる見通し。
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