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ソニー 03年度の経営方針を発表

2003/06/02 19:23

週刊BCN 2003年06月02日vol.992掲載

 ソニー(安藤国威社長兼COO)は、2003年度の経営方針を打ち出した。管理体制を改革し、市場環境の変化に迅速に対応。コンシューマ市場でブランド力を一層確立していくため、エレクトロニクス事業の商品力を強化する。

組織改革で商品力強化へ

 出井伸之会長兼グループCEOは、「エレクトロニクス分野は、韓国や台湾の企業が日本市場に参入、製品がコモディティ化し、なおかつ低価格になっている。このような厳しい競争の下で事業を伸ばしていくためには、会社組織の仕組み自体を変えていくことが重要」と語る。

 管理体制は、週単位で運営する体制を構築する。これまで年度単位だった予算計画を四半期ごとに切り替える。グループCFOに加え、ネットワークカンパニーCFOを配置し、各カンパニーの経営状況を包括的に把握。グループのトップマネジメントが経営の実態を迅速に把握できる体制を整える。

 商品力の強化については、パソコンの「VAIO(バイオ)」を製品ブランドからビジネスブランドにする。デスクトップとノートの組織を集約することで社内体制を強化し、設計・製造・販売で管理体制の効率化やスピード化を追求。欧州市場や中国市場のビジネス拡大も視野に入れる。携帯情報端末「Clie(クリエ)」は、小型化と使い勝手を追求した新製品を発売する。

 フラットディスプレイについては、液晶モニタなどの自社開発を計画しており、積極的な投資の検討に入る。安藤社長兼COOは、「ある程度の準備期間が必要なので、今後2年間は現状と変わらない。早くても05年以降で、07年に本格化する」という。

 今年度は、プラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶テレビの「WEGA(ベガ)」の製品群を現状の7モデルから24モデルに増やし、ラインアップを拡充。「台数ベースで前年度比230%増を目指す」(高篠静雄副社長)と意気込む。

 ゲーム機器「プレイステーション2」では、ハードディスクレコーダーや記録型DVD、テレビチューナーなど、さまざま機能を搭載した「PSX」を今年末をめどに発売する。「パソコンと家電機器、ゲーム機器が融合した製品」(久夛良木健副社長)と位置づける。

 同社では、今年度から第2次構造改革の実施も打ち出している。固定費や不採算事業の撤退など3年間の累計で3000億円の構造改革費用を計上。今年度は1400億円を予定する。継続的なコスト削減効果は、今年度で600億円程度、05年度が1700億円程度を見込む。
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