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4番目の上場目指す中国網通

2003/06/30 19:22

週刊BCN 2003年06月30日vol.996掲載

通信キャリア再編急ピッチ

 中国網通(チャイナネットコム)が大規模な内部調整を開始、6月11日には通信キャリアの吉通公司を吸収合併することを公表した。これを受けて、吉通公司では、すでに中国全土121の各支店に全ての業務を停止するよう緊急通知を出し、全てのユーザー契約書を整理するなどの作業を進めている。

 中国の通信キャリアといえば、中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、CDMAの中国聯通(チャイナユニコム)あたりが有名だが、中国網通は中国移動と中国電信に次ぐ第3位の大手通信キャリアだ。とくにIPネットワークなどでは中国でトップシェアを誇る。

 2002年5月の再編によって、旧・中国電信は南北に分割され、南方部分は中国電信ブランドを継承、北方部分は旧・中国網通が吸収、現在の中国網通が誕生した。これ以前からあった通信キャリアの吉通は、政策的な方針によって新しくできた中国網通に吸収合併されることになっていた。

 しかし、吉通は中国全土にかなり大規模なネットワークをもつ準大手キャリアであっただけに、中国網通による吸収合併も簡単なものではなかった。さらに02年5月の再編を通じて、中国の南方部分は完全に中国電信が掌握するはずだったが、旧・中国網通は南方でも事業展開をしていたため、その資産の整理なども課題となっていた。

 今回公表された中国網通による吉通の吸収合併は、いわば02年5月の再編のやり残しという意味合いもある。

 その内容は、中国全土の現有の吉通各支店は、北方10省では各省の中国網通系子会社に吸収され、南方の福建省、安徽省、江西省、湖南省、湖北省、上海市では、旧・中国網通の南方資産としての中国網通控股によって再編されるというもの。これによって、吉通ブランドは完全に消滅することになる。

 この公表後わずか3日間で中国網通は吉通の吸収に関する詳細な計画を設定、すぐさま実行に移している。この急展開は当然、それ以前から準備を進めてきたことによるところが大きいが、今年4月に就任したばかりの張春江・中国網通総裁の手腕も見逃せない。

 また吉通の吸収合併と同時に、中国網通では中国網通控股とも協議を進めており、その吸収合併活動も進めている。この協議も資産価格の査定段階にさしかかっているといわれ、意外と早く解決することも考えられるが、中国網通控股は有力傘下企業を抱えた上に、それら傘下企業にはゴールドマン・サックスや中国科学院なども出資しており、その資本構造上、吉通の吸収合併よりも難しいとされている。

 中国電信、中国移動、中国聯通という中国を代表する3つの通信キャリアがすでに中国や香港、ニューヨークなどで株式公開を果たしているなか、敏腕の張総裁の下で、迅速な資産再編を経て、中国通信キャリアで4番目の株式上場を目指して、中国網通が奮闘している。(サーチナ・有田直也)
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