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日立情報システムズ PAI+付加価値のサービスを拡充 事業構造の転換を急ぐ

2003/10/06 19:35

週刊BCN 2003年10月06日vol.1009掲載

 日立情報システムズ(堀越彌社長)が、PAI(パッケージド・アプリケーション・インテグレーション)の収益力強化に力を入れている。PAIとは、パッケージソフトを中心にシステム構築を手掛ける手法。同社が今年4月から打ち出した新方針である。同時にPAIと連動する付加価値サービスの整備を急ピッチで進め、PAI+付加価値サービスによる新しい収益モデルの確立を急ぐ。

 日立情報システムズは、顧客の需要をもとに、ゼロからアプリケーションを開発する業務システムから、既存のパッケージソフトをベースとした業務システムへのシフトに力を入れる。

 これは、国内の商習慣に適した国産業務ソフトの完成度が高まっているのに加え、パッケージソフトの活用によるコスト削減や納期短縮への要求が強いことが背景にある。

 同社では、4月にPAIを発表したものの、「今の段階では、まだ収益の柱になりきれていない」(森内康浩・ソリューションサービス事業本部産業・流通情報サービス事業部執行役常務事業部長)として、現在主力となっている顧客の要望に沿って手づくりで組み上げる業務システムの開発比率やソフトの受託開発を抑え、パッケージソフトの活用比率の拡大をさらに強力に進めていく。

 中堅企業向けERP(基幹業務システム)パッケージでは、自社開発の製造業向け「天成」、流通・サービス業向け「天商」などを揃え、中小自治体向けでは「eアドワールド」を独自に開発している。この他には、中堅企業向けの他社製品として、エス・エス・ジェイの「スーパーストリーム」や、SAPの「SAP R/3」などを採用している。

 ただし、パッケージソフトの完成度が高まるにつれて、顧客個別にカスタマイズするソフト開発の領域が小さくなり、売上高は小さくなる傾向が続く。顧客にとっては、これがコストダウンに結びつくが、システムインテグレータにとっては、収益構造の転換が求められる。

 同社では、①PAIにともなうコンサルティングの収益比率を高める、②PAIと並行してアウトソーシング受注に力を入れる、③データマイニングなどのBI(ビジネスインテリジェンス)で付加価値を高める――など、PAIから先に続く商材の拡充に力を入れる。特にアウトソーシングでは、月額課金による安定収益の拡充を図る。

 PAIでコストを下げると同時に、アウトソーシングやコンサルティング、BIといった付加価値サービスの比率を高める。これにより、全体としての売上高を減らさずに、収益構造の抜本的な転換を図る考え。「パッケージソフトへの移行は、市場の流れであることは間違いない」として、できるだけ早い段階で、事業構造の転換を進める方針。
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