ニュース

弥生、「弥生シリーズ」新版発売 青色申告ソフトが好業績を牽引

2003/11/03 19:37

週刊BCN 2003年11月03日vol.1013掲載

 弥生の昨年度(2003年7月期)決算は、個人事業主向けソフトウェア「やよいの青色申告」で新規顧客1万5000件を獲得できたことなどにより、売上高が前年度比10%増の65億9800万円、営業利益が同52%増の17億1500万円となった。同社は11月21日、新たに顧客データ管理版を加えた弥生シリーズを発売するほか、12月1日からの会計事務所向け「弥生会計AE(アカウント・エディション)」とクライアント版「弥生会計CE(クライアント・エディション)」の新版出荷や潜在顧客の開拓などで、今年度(04年7月期)の総資本利益率30%以上(昨年度は26.8%)を目指す。

 昨年11月に発売した「やよいの青色申告」は、「競合他社より後発の出荷」(相馬一徳・執行役員営業本部担当=写真)となったが、ソフトバンクが昨年末にパソコン量販店で実施した「青色申告フェア」で実績を上げ、BCNランキングで販売本数が常に上位3社に入るなど健闘した。「先行した他社の青色申告ソフトを研究し製品の完成度を高めた。これによって、パソコンを所有する個人事業主に販売が伸びた」(相馬執行役員)と分析する。

 旧弥生シリーズも購入から30日以内は返品できる「返品キャンペーン」を実施。実際に使ってみることで製品に対する信頼度が高まった。また、昨年末から他の業務ソフトベンダーが廉価版を出荷したのを受け、同社も今年4月に「弥生会計03シリーズ」の優待パッケージ発売などで対抗した。もっとも、「販売店の収益率が低下するため、安易に廉価版は出さない」(相馬執行役員)と、今後は低価格化路線には進まない方針だ。

 11月に発売予定の弥生シリーズの新版「弥生会計04」、「弥生販売04」、「弥生給与04」、「やよいの青色申告」と、中小企業のマーケティングに対応した「弥生顧客04」では、ユーザーの声に基づく機能改善を図ったほか、新規導入をサポートする動画ヘルプ「導入アドバイザー」やクレオのはがき作成ソフト「筆まめ」との連動機能などを実装した。今年度中は、30日間無料で使える「体験版」の利用増を図るなどで、10万本弱の販売本数を見込んでいる。

 また、潜在顧客の開拓を目指し、4月からは、弥生会計の試供版を会計実務教育を導入する専門学校や大学、商業高校などに利用してもらう「弥生スクール制度」(6月末で約150校が参加)を開始したほか、全国の「青色申告会」に対する営業を強化。「将来的に弥生会計を利用する可能性のあるユーザーを掘り起こす」(相馬取締役)という。
  • 1