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加コグノス 帳票作成システム、CPMの全領域をカバー BIツールの普及図る

2003/12/22 19:39

週刊BCN 2003年12月22日vol.1020掲載

 ビジネスインテリジェンス(BI)ツール大手であるカナダのコグノス(ロン・ザンボニーニCEO)は、11月にエンタープライズ向け帳票作成システム「Cognos ReportNet(コグノス・レポートネット)」を世界10か国で同時出荷したのに続き、市場調査会社のガートナーが提唱する企業の新管理手法「CPM(コーポレート・パフォーマンス・マネジメント)」に向けた展開を本格化した。同社のデーブ・リバティ・シニアバイスプレジデントは、「BIツールは企業の各部門に導入が進んだ。今後は全社的に導入する段階にある」と、世界のトップ企業3500社に向けた販売体制を強化。日本法人(田上一巳社長)でも、システムインテグレータと協業して大手企業への導入を進めていく。

 レポートネットは、ウィンドウズとUNIXで稼動する唯一のウェブレポート機能を持つBIツール。企業が保有するERP(基幹業務システム)やCRM(顧客情報管理)などで蓄積されたビジネスデータを収集・分析し、的確な経営判断を支援するほか、既存のIT資産と統合した運用ができる。レポート作成がウェブブラウザ上でドラッグアンドドロップなどの容易な操作で行えるため、「経営者や部門担当者がスムーズにレポートを見られるのが特徴」(山田和昭・日本法人マーケティング本部副本部長戦略企画担当)という。

 レポートネットは、昨年5月に一部先行リリースされている製品で、既にファイザーやキリンビール、朝日新聞社、コクヨなど大企業で導入が進んでいる。今回の出荷製品ではさらに、SAPのERPパッケージ「R/3」との連携を強化して、企業がR/3のデータや他のデータベースを統合して、1つのアプリケーションとして活用できるようにした。

 コグノスは今回の本格出荷で、「CPMに向けた製品群が揃った。ERPを導入して蓄積されたデータを有効活用できていない企業を支援する」(リバティ・シニアバイスプレジデント)という。CPMは、企業の業績や能力を測定可能な数値指標で扱い、「計画立案」から「業績の実態把握」、「問題・成果の分析」、「レポート作成」の一連の管理サイクルをITで実現するビジョン。同社はこの各サイクル全域で製品を用意したという。

 国内では、世界トップ3500社のうち約25%を占める日本企業に向け、アイティフロンティアやNECソフト、CSKなどのシステムインテグレータや大手ITメーカーなどと協業して、パートナー販売を強化。「日本のCPM市場は、ポテンシャルとして110億円程度は見込める」(リバティ・シニアバイスプレジデント)と開拓を急ぐ。
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