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SAPジャパン 中小・中堅向けERP、チャネル開拓本格化 業種別テンプレート豊富に揃う

2004/01/12 20:19

週刊BCN 2004年01月12日vol.1022掲載

 SAPジャパン(藤井清孝社長)は、中小・中堅企業向けERP(統合基幹業務システム)製品の販売を本格化する。昨年9月に中小・中堅企業向けERP製品の販売を担う専属の「SMB事業部」を新設したのに続き、このほど業種別テンプレート(ひな形)が揃ったことから本格的にSMB市場を開拓できる体制が整った。業種別テンプレートについては、一部が昨年末までに20社以上で導入された。「反響が高く、攻勢に出る時期がきた」(竹田邦雄・アライアンスマネジメントバイスプレジデント)としており、新たなパートナー開拓も進めていく。今夏には、従業員100人以下の中小企業向けERP製品もリリースする予定だ。

 同社は、導入コストの削減や導入期間の短縮を図るERP製品「mySAP All-in-one(マイエスエーピーオールインワン)」の業種別テンプレートを、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)などパートナー企業と共同で開発し、昨年末までにハイテク・エレクトロニクス業界や自動車業界など11業種で62種類のテンプレートを完成させた。中堅企業向け販売パートナーは、ユアソフトや三菱インフォメーションシステムズなど30社。今年は、「5社程度を勧誘し、ISVやシステムインテグレータ以外のチャネルとも協業したい」(竹田バイスプレジデント)と、間接販売を強化する方針だ。

 中堅企業向けビジネスでのパートナー開拓は、システム構築でノウハウを持つ従来のIT企業だけでなく、「SMB事業部が中心となって、既存のパートナーと大手メーカーを提携させ、将来はその大手メーカーにもパートナーとして中堅企業向けERP製品を売ってもらう」とし、まず大手メーカーに、開発したテンプレートの利用を勧めていくという新たな展開を行う。

 今夏には、親会社の独SAPがリリースした中小企業向けERP製品「mySAP Business one(マイエスエーピービジネスワン)」を国内向けに出荷する予定。同製品は、独SAPが2002年に買収したイスラエル企業のトップ・マネージ・フィナンシャル・ソリューションズのアプリケーションがベースになっている。経理、人事管理、販売、購買などの業務効率化が図れ、大企業向けERP製品「SAP R/3」との親和性が高いため、本社で「SAP R/3」を活用している大企業の地方拠点などの需要を見込む。同時に、「中小企業向けはすべて、パートナー経由で販売を進める」(竹田バイスプレジデント)方針で、拡販のために新たなパートナーの開拓を始める。

 また、独SAPでは、マイエスエーピーオールインワンのテンプレートを効率良く構築するため、会計、人事、販売管理などのコアモジュール(部品)を統一フォーマットに集約した開発パッケージ「ベースラインパッケージ」の開発を進めている。「発売時期は未定だが、これが国内でも販売されれば、さらにSMB市場が狙いやすくなる」(同)と、中小・中堅企業向けへのビジネス展開に自信を深めている。
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