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あさひ銀総合システム IDCビジネスを本格展開 自治体のハウジング事業拡大

2004/02/23 20:21

週刊BCN 2004年02月23日vol.1028掲載

 昨年1月にインターネットデータセンター(IDC)「さいたまIDC」を立ち上げたあさひ銀総合システム(AGS、武井司社長)は、埼玉県内の自治体や民間企業からハウジング事業などアウトソーシングの受注を本格化させる。すでに、1市1町のLGWAN(総合行政ネットワーク)など、7つの公共団体と県内中堅企業4社から受注しており、「IDCの収容能力を増強する作業を終えた」(吉野曠男・公共事業本部常務執行役員本部長)ことから、富士通グループとの協業による営業を積極的に行う。3年後にはIDCビジネスだけで8-10億円の売上高を目指す。

 現在、埼玉県内にある人口30万人以上の市の情報システムの多くは、大手ITベンダーが一括納入したものとなっている。だが、市町村合併により、「町村のシステムを大都市のシステムに統合する動きがある」(吉野常務執行役員)と、顧客である自治体の顔ぶれが変わることは確実な情勢。

 一方、これまでAGSが自治体に提供してきた総合行政パッケージ「KRIPS-C/S」は町村を中心に導入されていることから、市への吸収合併で「基幹系ビジネスは減る」(同)と、保守・運用をアウトソーシングする戦略への転換を図った。

 AGSは、自治体のフロントサーバーを預かるハウジング事業を中心に、運用監視サービスや受託計算ソリューションといった各種業務、電子申請・入札などポータルサービス中心のホスティング事業などへ拡充する。ホスティング事業ではこのほど、埼玉県と市町村が共同で行う電子入札システムの補完・運用を受注、4月から稼動する。

 市町村合併の案件では、埼玉県内で約半数の自治体を顧客に持つ富士通や関連子会社の富士通サポート&サービス(Fsas)、富士通システムソリューションズ(Fsol)の3社と共同で商談を進めている。「県内最大級の当社のIDCを拠点に、多くのシステム開発や受託運用を獲得できると思う」(鷲尾一男・電子自治体推進室統括マネージャ)と、富士通グループとの連携による受注拡大に期待を寄せる。

 昨年末には、IDCビジネスを多方面に拡大するため、全社横断の「事業企画室」を新設。公共分野だけでなく、民間分野でもIDCを使った新規ビジネスを創出する計画。

 「当社は、りそなグループのIT関連会社で、母体である旧埼玉銀行の各種情報サービスを手掛けてきた。銀行系IT会社として自治体や民間企業の給与計算を多く扱ってきた強みを生かし、市町村合併案件が一段落したら、IDCビジネスを民間に拡大する」(吉野常務執行役員)と、順次発展させていく予定だ。

 AGSのIDCビジネスは、自治体向けを中心に昨年末までに売上高約1億円に達した。この売上高を、3年後には自治体向けだけで3-4億円、民間企業を含め8-10億円の規模に拡大させる。
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