【ソウル発】三星電子、LG電子の韓国の家電メーカー2社が、中国で注目されている新しい消費層「新貴族」をターゲットにしたマーケティングで、中国市場でより積極的に攻勢をかけている。中国主要都市人口の15%にあたる約6500万人いるといわれる新貴族は、高所得で貯金よりはショッピングを好み、中国経済の核として市場変化をリードする新富裕層。中国が国内の流通市場の開放に乗り出したことで、富裕層向けに高額家電商品の拡販を狙っている。

 三星電子は年間売り上げの20%を占める「春節」(旧正月)に合わせ、北京、上海、広州など19都市で新貴族を対象に大々的なイベントを開催した。このイベントは、「ウェル-ビーイング ライフ ウィズ サムスン」というタイトルで、健康志向の新貴族にプラズマテレビ、デジタルビデオカメラ、ドラム式洗濯機など高額家電を購入すれば、ヨガ講習が受けられるチケットをプレゼント。他にもスキー場では「サムスン スノーフェスティバル」、海外旅行が当たる懸賞イベント「アラウンド ザ ワールド ウィズ サムソン」、顧客を招待するパーティ開催など各地でイベントを開いている。

 中国の複雑な流通構造と非効率的な物流システム、市場の閉鎖性、6か月もかかる代金決済が障害となり、これまで韓国企業の中国進出は思うように伸びなかった。だが今年から、中国が卸小売流通市場を開放したため、三星電子は卸売を経由せず大型量販店に直接製品を供給する体制に再編しながら、中国企業との関係も強化し、売り上げを伸ばしていく方針だ。

 三星電子の携帯電話「エニコール」は中国で革新的なデザインが人気を呼び、人気ブランドとしての座を獲得している。携帯電話の人気を家電につなげ、流通コストの削減など実利ある経営基盤を築くことで中国市場の早い変化に対応し、着実に実績を伸ばしていく考え。

 三星電子は中国での売り上げを2010年まで昨年の2.5倍にあたる250億ドル規模に拡大させ、全売り上げに占める中国の割合を18%から30%に増やすため総力を挙げている。

 一方、LG電子は中国で人気の高い韓流スターを広告モデルに起用し、売り場のインテリアを芸能人のブロマイドで埋め尽くしている。さらに、タレントの名前を製品名にしたプラズマテレビ、液晶テレビ、冷蔵庫などプレミアム商品を購入すると金額に応じて旅行商品券、一般製品を購入した場合でも小型掃除機を贈呈し、無償修理サービスも拡充している。

 LG電子は中国でIT事業に集中投資し、昨年の1.5倍にあたる150億ドルを今年の売上目標とした。CDMA携帯端末でトップ、17インチ以上のLCDモニタ販売で50%増、MP3プレイヤーおよびノートパソコンなどに集中し、テレビ市場シェア1位に続き高額家電トップメーカーとしての認知度を高める。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)