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ウィルコム 法人向けビジネスを拡大

2005/03/07 21:35

週刊BCN 2005年03月07日vol.1079掲載

 ウィルコム(旧DDIポケット、八剱洋一郎社長)は、法人向けビジネスの拡大に乗り出す。システムインテグレータなどとの連携により、アプリケーションソフトを含む「ビジネスソリューション」の提供に力を注ぐ。この4月には、パートナー開拓に向けた「パートナープログラム」を策定。プログラム開始後、早期に10社程度のパートナー獲得を目指す。現在40%程度の法人向けビジネスの売上比率を、2007年度(08年3月期)には60%まで引き上げる。

07年度に売上比率60%へ

 法人向けビジネスの強化に向け、都市圏では営業グループの区分を業種別に再編。新組織は、多くの顧客企業を獲得しているIT業界をはじめ、製造や金融、流通、医療など5-6分野のグループで構成する模様だ。都市圏以外では、コンシューマ向けと法人向け両方の販売を手がけているケースが多いことから、特に垣根は設けず、地域特性に合わせた営業展開を進める。

 これまでの法人向けビジネスは、同社から積極的に販売のアプローチをかけることは稀だった。しかも、法人顧客への端末・サービスの導入は同社が直接行うのではなく、大手電機メーカーなどが手がけるシステム構築の一部として提供していた。

 今後は、「当社から積極的にアプローチをかけ、顧客企業が求めるソリューションをパートナー企業との連携で提供していく」(八剱社長)方針で、システムインテグレータとの連携を強化する。

 具体的なパートナーとの連携策については、今年4月をめどにパートナープログラムを作成する予定。PHSの核となる技術を開示し、システムインテグレータなどがアプリケーションソフトを含めたシステム構築が行いやすい環境を整えるほか、技術および販売セミナー、顧客向けセミナーなどを順次開催していく。

 パートナー企業は最大10社程度を見込んでいるが、「当面はパートナー数を増やすことに専念するのではなく、パートナーとの協調関係を深めることに力を入れる」(八剱社長)方針だ。システム案件が増えたり、顧客企業から従来にない新しいニーズが生じてきた場合にはパートナー数を拡大して対応するとともに、「メンバーズ制度を採用する」(同)ことも検討する。

 データ通信サービス「AIR-EDGE(エアエッジ)」を活用したモバイルネットワークシステムを構築すれば、導入企業は営業担当者が専用線を利用して社内の閉域ネットワークにアクセスできるほか、全国の支社や支店、店舗などを結ぶワイヤレスネットワークが可能となる。企業向けゲートウェイサービス「I-CAS(アイキャス)」との併用で、セキュリティを強化したリモートアクセスも実現できる。

 加えて、外出先から会社に位置情報を付加して業務内容を報告したり、宅配便やバイク便などの位置をセンターから確認して指示を出すといった位置情報システムも構築できる。こうしたビジネス用途の提案で、新規顧客の開拓につなげる。

 現在、法人向けビジネスの売上比率は40%程度で、残りはコンシューマ向けが占める。これを数年内に逆転させる方向で、法人向けビジネスの比率を06年度に50%、07年度は60%へと増やしていく考え。売上高については「年率で1ケタ台半ば」(同)の成長を見込んでいる。

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