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韓国の携帯電話市場 三星とLG電子、対極の価格戦略 「実用性」と「最先端機能」に分化

2005/06/27 21:42

週刊BCN 2005年06月27日vol.1094掲載

 【ソウル発】韓国では携帯電話の高機能化競争が激しくなっていたが、新たに価格競争という側面も出てきた。このほど、三星電子とLG電子が同時に500万画素携帯電話を発売した。業界で話題になっているのは機能よりはむしろ2社の価格戦略である。

 LG電子は、NTTドコモと3G端末を共同開発することになり、最近携帯電話市場に重点を置いている。そのLG電子が「実用性」を武器に他社の携帯電話と変わらない60万ウォン(約6万円)で新機種を投入した。

 一方、三星電子は「最先端機能」を強調し100万ウォン(約10万円)を超える史上最高価格の製品を登場させている。

 韓国の携帯電話端末市場は、安い機種でも平均日本円で4-5万円。すでに2004年末に500万画素携帯「SCH-S250」を発売している三星電子は、デジタルカメラと比べても遜色ない世界初の光学3倍ズームを採用した500万画素「SPH-V7800」を発売した。有効画素数536万ピクセル、1600万カラーQVGA・TFT-LCD、デジタル4倍ズーム、オートフォーカス、高性能フラッシュ、カメラと同じく細かい手動設定機能が搭載され、デザインもカメラのようになっている。

 三星電子の広報担当者の説明によると、「携帯電話のカメラは画素数が高くてもネット掲載用、スナップ写真用に限られていたが、これからは携帯電話でも十分作品が撮れるというのが売り」だという。

 LG電子は厚さ18mmのスリム型500万画素携帯「SV550」、「KV5500」、「LP5500」を発売する計画で、動画撮影を重視している。LG電子側は「韓国市場でのメガピクセルカメラ付き携帯市場は三星がリードしているが、超高価格戦略により携帯電話としての意味を忘れている。LGは最新機能の端末を三星に比べ破格的な価格で提供する。市場でどっちが選ばれるのか、注目していただきたい」と自信を見せる。

 LG電子は500万画素携帯のほかに衛星DMB携帯(SB120)、世界初100万ポリゴングラフィックス加速チップを搭載した3Dゲーム携帯(SV360/KV3600)も、高価格よりは使って楽しい携帯をアピールし販促する計画だ。

 韓国のカメラ付き携帯は2002年4月の11万画素から始まり、03年3月30万、03年10月130万、04年6月200万、04年7月300万、04年11月500万、05年3月700万と急速に進化している。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
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