情報技術開発(TDI、竹田征郎社長)は、生体認証技術「顔認証」によるセキュリティ製品「@Face(アットフェイス)」シリーズを今秋から企業向けに発売する。個人向けには、7月15日からスタンドアローン版「@Face PCログオン」をパソコン量販店で発売。企業システムの受託開発が主力の同社は、この技術を応用した「サーバー版」と「エンタープライズ版」を順次リリースして、企業内のシステムと連携したソリューションを提供していく。企業向け販売では、パートナーを通じた展開を模索していく。同社はスタンドアローン版を含めた同シリーズの販売で今年度(2006年3月期)、売上高10億円を目指す。

 情報漏えいや不正アクセス被害が増加するなかで、指紋認証や虹採(こうさい)認証、静脈認証といった生体認証でセキュリティを強化するシステムが期待を集めている。ただ、これらの認証方法は、センサーに指を入れるなど、機器に接触する必要があり心理的な抵抗が強い。これに対し、顔認証は、カメラの前に立つだけで簡単に認証でき、高価な機器を必要とせず、数千円程度のウェブカメラを利用できるなど導入が容易だ。

 @Faceシリーズは、九州工業大学と画像解析を研究するグローバル・セキュリティ・デザインが産学協同開発した認証エンジン「FaceViTALEngine」を搭載している。他社製品では、顔認証に利用するテンプレートデータのサイズが数キロバイトだが、同エンジンは128バイトであるため高速・高精度で認識ができ、ユーザー認証に要する時間が1秒以下と早いのが特徴だ。

 TDIの主力事業は、受託ソフトウェア開発や情報処理サービスなど、オンサイトの企業システム開発だが、「企業の情報漏えい事件が頻発し、セキュリティ強化がキーワードになった」(田中国武・営業本部営業統括部ソリューション営業部部長)と判断、セキュリティ市場に参入するため、昨年末から@Faceシリーズの開発を進めてきた。

 スタンドアローン版に続き、今秋には「サーバー版」、来年初めに「エンタープライズ版」を出し、他社のIT資産管理ソフトやセキュリティ製品と連携したソリューション展開を本格化させる。例えば、TDIが販売しているランデスクソフトウェアのIT資産管理ソフト「LANDesk(ランデスク)」シリーズと連携したり、他の認証方式と組み合わせた「マルチ認証」のソリューションなどを模索する。また、@Faceエンジンを他のアプリケーションに組み込むために必要なソフト開発キットを提供し、他のソフトベンダーと連携していく。

 田中部長は、「セキュリティを強化する上で、ID・パスワード+生体認証、生体認証+生体認証など、マルチ認証環境を構築することが求められている。これを実現する上で安価で利便性の高い顔認証は有力な手段だ」という。TDIは現在、@Faceに関連した事業で連携できるパートナーを募集しており、これらを通じた販売で、今年度10億円の売上高を見込んでいる。