【ソウル発】無料であるため爆発的な利用者増が見込まれている1セグ(韓国では地上波DMB)に対し、韓国では携帯電話事業者3社が収益性がないという理由で受信を拒否する動きを見せている。携帯電話から無料で地上波テレビ放送が見られることが魅力の1セグなだけに、携帯電話事業者側の「収益性問題」は12月から商用化を目指している1セグの普及に赤信号となっている。

 SKテレコム、KTF、LGテレコムの携帯電話事業者3社は1セグが始まっても当分は月利用料1万3000ウォン(約1300円)の25%を手数料として徴収する衛星DMB(モバイル衛星放送)サービスだけ提供すると発表した。KTFの関係者は「損をしてまで1セグを提供するつもりはない」。LGテレコムの関係者も「無料でテレビが見られるとなれば携帯から有料コンテンツを利用するユーザーが減り携帯電話事業者の収益は減っていく。放送と通信、両方が儲かる収益モデルを探さなくては」と懸念を示す。

 子会社のTUメディアから衛星DMBを提供しているSKテレコムはKTFとLGテレコムの1セグ携帯電話販売の動きを見てから判断するという立場だが、現状では1セグには参加しない方針だ。1セグが商用化されても、当分は携帯電話でなく、車載用端末や専用端末でしか見られない可能性が高い。

 一方、携帯電話機メーカー側は「せっかく1セグ対応携帯電話を開発したのに、このままではベンダーまで収益性が落ちてしまう」、「キャリアと放送側が早く交渉を進めるべき」と焦りを見せている。

 このような動きのなか、韓国広告広報学会は特別セミナーを開催し、過剰に規制されているDMBの広告制度を改善すれば自然と収益モデルも出てくるのではないかと主張している。移動しながらテレビが見えるなど、DMBの特徴を考慮せず、地上波放送の広告制度をそのまま導入するのは問題であると見ている。現在禁止されている中間広告(15分ごとの広告ではなく番組が始まる前と後だけ広告が流れる)をDMBでは許可し、広告の時間だけ規制してその方法や回数は規定しない。また、1セグのチャンネルレンタルについても広告営業はチャンネル使用側が勝手にできるようにする方向で、法的根拠を作るべきと話している。

 韓国インターネット振興院が6月に実施した「2005年無線インターネット利用実態調査」では、携帯電話保有者の24.1%、DMBサービス認知者の40.9%が「今後、衛星でも地上波でもDMBサービスを利用してみたい」と回答。1セグ加入率は予想をはるかに超える可能性もあるといわれていたが、携帯電話さえあれば交通・決済・音楽再生など何でもできる韓国で携帯以外の端末を利用することになれば、1セグの普及は期待できそうもない。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)